「酵素ドリンク」を利用するなら慎重に…

◎消化酵素をサポートする

消化酵素の働きを助けるのはミネラルですから、野菜などからミネラルを適切に摂取することが大切です。また、消化酵素そのものではありませんが、生の食材には消化を助ける酵素が含まれています。納豆、キムチ、味噌などの発酵食品にも酵素は豊富です。

ちなみに、巷では「酵素ドリンク」も健康食品として注目されていますが、これは野菜、果物、海藻など多種類の食材を長期間発酵・熟成させてつくられる食品で、酵素そのものを十分に補えるわけではありません。多くは最終的に熱処理をおこなっているため、生きた酵素を摂れる可能性は少ないです。栄養素が凝縮された健康食品のひとつと考えましょう。また、食事を水と酵素ドリンクに置き換えてファスティング(断食)に取り入れる人もいますが、ファスティングの適切な方法については医学的にほとんど検証されていません。

酵素ドリンクは製品によって成分も価格もまちまちです。糖質量が高い甘い酵素ドリンクを常用して血糖値が上がってしまう例もあります。利用する場合は成分や製法をよく見極め、目的に合うものを選ぶ必要があります。1~2カ月試して効果が感じられなければ漫然と費用を費やすことのないよう、慎重に利用しましょう。

なお、食事内容を工夫しても消化しづらいときは、消化酵素を医薬品で補うこともできます。内科で処方される場合があるので、主治医の先生に相談してみてください。海外では消化酵素のサプリメントも販売されていますが、日本では市販されていないので、こうしたサプリメントを扱う専門の医療機関に相談してみてください。

高齢者には「高齢者向きの食事内容」がある

まず、普段から量を食べすぎないことです。空腹感がないときには無理に食べなくてもよいので、お腹が空いてから食べるようにしてみてください。空腹感というのは、「食べ物を消化する準備ができました」という体からのサインです。

高齢になると「空腹感があるのに消化できない」ということも増えてきます。その場合は、消化力に応じた食事内容に変えてみましょう。もし、若いお孫さん世代と同居しているなどで、動物性たんぱく質・動物性脂肪中心の食事をとっているとしたら、もっと消化しやすい内容に変えてみてください。

たんぱく質で言えば、加熱するとたんぱく質は消化しづらくなります。いちばん消化にいいのは「生」。魚の刺身などです。また、たんぱく質と脂肪の割合を減らして糖質の割合を少し増やしてもよいかもしれません。必ずしも全員が同じものを食べなくてはならないわけではなく、高齢者には高齢者向きの食事内容があります。

写真=iStock.com/Artit_Wongpradu
タイの刺身。たんぱく質で言えば、いちばん消化にいいのは「生」(※写真はイメージです)