ダイエットや糖質制限も口臭の原因に
また、ダイエットも口臭の原因になり得ます。その理由は、食事を抜くと唾液の分泌量が減少するためです。唾液には自浄作用があり、食べカスや細菌など、口の中の汚れを洗い流す力があります。
それに加えて、唾液には抗菌作用もあるため、口の中が多くの唾液で潤っているだけでも、口臭をある程度予防できます。咀嚼により固形物の食べ物を食べると、刺激により唾液の分泌量が増えます。
さらには食べ物と舌が接触するため、舌苔がはがれて口臭を抑えることができます。逆に食事を抜くと、唾液の分泌量が低下します。そうすると、舌苔が付着しやすく、細菌が繁殖しやすくなるため、口臭が目立つようになります。
朝起きた時に口が乾燥していて自分の口臭が気になることはありませんか? まさにこれが典型的な例です。最近話題の糖質制限ダイエットにも注意が必要です。
過度な糖質制限を行うと、体内の糖質が不足するため、代わりに脂肪を代謝してエネルギーを作りますが、その際に肝臓でケトン体という物質が作られます。
ケトン体が血液中に入って体内を巡ることによって、「ケトン臭」という独特の甘酸っぱい臭いが、体臭や口臭となって出てくる場合があります。
食事制限の他に、口臭につながる唾液の分泌量を低下させる要因としては、薬の副作用やストレスなどがあります。
テストや面接の前など、緊張して口の中がカラカラに乾いた状態の時は、やはり口臭が生じやすくなります。このような場合は、緊張などのストレスが解消されれば、口臭もなくなります。
4種類の口臭と予防方法
口臭ケアグッズをいくら使っても、口臭の根本的な原因は取り除けません!
口臭は自分ではなかなか気づきにくいものです。その理由は、自分で口から不快な臭いを発していたとしても、その臭いにずっとさらされていると慣れてしまい、その臭いを感じなくなってしまうためです。これを「順応反応」と言います。
タバコを吸っている人が、自分のタバコの臭いに気づかないのと同じです。自分の口臭に気づくためには、歯科医院や口臭外来で口臭測定器で測定したり、市販の口臭チェッカーを利用したりする方法などがあります。
口臭は4つに分類することができ、予防するための方法はそれぞれ異なります。
①生理的口臭……起床時や空腹時、緊張時など、口の中が乾いているために起こる口臭です。しっかり食事をとることで唾液量が増え、お口の中が潤い細菌が流されることと、歯磨きなどの口腔ケアをすることで対処できます。
②病的口臭……歯周病や胃炎など病気によって起こる口臭です。この場合は、基本的に病気を治すことが必要です。歯科医院では主に歯周病の治療を行うことで歯周病由来の口臭は劇的に改善されます。
③外因的口臭……ニンニクなどの臭いのする食べ物を食べたり、タバコなどの嗜好品をたしなんだりすることによって生じる口臭です。食べ物が原因の場合は、時間がたてば解消します。
④心因的口臭……実際には口臭がないのに、口臭があると思い込んでいる人のケースです。この場合は、口臭がないことを他の人が指摘してあげる必要があります。いわゆる心の病気に近い状態です。客観的に口臭測定検査などのデータを用いて口臭がないことなどを患者さんに伝えていきます。