世界一のカジノ場・マカオにいる「謎の女性たち」

本当に「世界最高水準の規制」か否かを考えていた二〇二三年冬、僕は都内の居酒屋で開かれた会合に誘われた。ここ数年来のカジノ・IR取材で知り合った数名が集まるという。五〇〇〇円以内で済むと聞いたので、いそいそと出かけた。

乾杯してからほどなく、左隣に座った中年男性のBさんが、スマートフォンの画面を差し出しながら、話しかけてきた。

「私、この前、マカオ(澳門)に視察に行ってきましたよ」

マカオとは、中国の「マカオ特別行政区」のことだ。カジノが盛んなことで知られる。「東洋のラスベガス」とも言われるが、実は二〇〇六年にはカジノの売上規模でラスベガスを抜き、世界一となっている。

写真=iStock.com/EyeEm Mobile GmbH
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マカオの観光名所となっている「聖ポール天主堂跡」や「セナド広場」の写真を見せてくれるのだろうか。僕は休暇を取って複数回、ポルトガル文化漂うかの地を訪問している。懐かしい風景が見られるのかと期待したら、全く違った。

Bさんの手元の画面に映し出されたのは、若い女性の顔やバストアップ写真。画面をスクロールするたびに、新しい子が出てくる。いずれも目鼻立ちの整った美人ばかりだ。見た目の雰囲気からすると、朝鮮半島系の女性たちのようだ。

「カジノと女性はセットでしょ」

「えーとー、この写真は~」

そうつぶやきながら、脳みそをフル回転させ何の写真か当てようとした。

Bさんは男性の欲望をカネに変える「下半身ビジネス」で、事業の基礎を築いた。その後、手広くビジネスを展開し、今や複数社を経営している。その彼が見せてくれている女性たちの写真とは何か。勘良く当てられない僕に対し、Bさんが答えを教えてくれた。

「この外国人女性たちは、マカオのデートクラブのメンバーですよ。マカオに遊びに来た富裕層の相手をするわけです。カジノと女性はセットでしょ。マカオに知り合いがいたので、どんなシステム、料金でどう運営しているのか聞いてきました」

そのついでに、彼女たちの写真を資料としてもらったのだという。

Bさんやこの夜に集まったメンバーたちの名誉のために記すと、彼は非合法の商売には手を出していない。もちろん、反社会的勢力との接点もないし、半グレや注目を集めている「匿名・流動型犯罪グループ」(通称トクリュウ)とも関係ない。