日本版カジノはどう規制される?

何を造るかは、同法で決められている。先に紹介したシンガポールのMBSと一部は被ってくる。「カジノ施設」「国際会議場施設」「展示等施設」「我が国の伝統、文化、芸術等を生かした公演等による観光の魅力増進施設」「送客施設」「宿泊施設」「その他観光客の来訪・滞在の促進に寄与する施設」だ。これら「一群の施設」が「民間事業者により一体として設置・運営される」。

なお、IR整備法は、この「送客施設」を国内「各地域の観光の魅力に関する情報を適切に提供し、併せて各地域への観光旅行に必要な運送、宿泊その他のサービスの手配を一元的に行うことにより、国内における観光旅行の促進に資する施設」と定めている。

IRに関し、主たる議論の対象になっているカジノはどう規制されるのだろうか。

・カジノ施設は一区域に一つのみ
・IR事業者は、政府のカジノ管理委員会(二〇二〇年一月発足)の免許(有効期間三年・更新可)を受け、カジノ事業を行える
・カジノ事業者に、業務方法書、カジノ施設利用約款、依存防止規定(本人・家族申告による利用制限を含む)と、犯罪収益移転防止規定の作成を義務づける。免許申請時にカジノ管理委員会が審査(変更は認可が必要)

「週3回までカジノに行ける」のはゆるすぎ?

・日本人と国内在住の外国人の入場回数を、連続する七日間で三回、連続する二八日間で一〇回に制限。確認にマイナンバーカードを活用。入場料六〇〇〇円を徴収
・二〇歳未満の者、暴力団員、入場料未払い者、入場回数制限超過者はカジノ施設への入場を禁止。カジノ事業者にも、これら対象者を入場させてはならないことを義務づける

なお、カジノを行う場(ゲーミング区域)の広さは、政府がこの説明会を開いている時点では未定だったことから、参照した資料には記載がない。二〇一九年三月にIRの設置基準を定める施行令が閣議決定され、IRの総床面積の三%までに決まった。

政府はこれらをもって、「世界最高水準の規制」としている。

この中で、よく議論の対象になるのが、「連続する七日間で三回、連続する二八日間で一〇回」とする入場制限と、六〇〇〇円の入場料だ。カジノを別の施設に替えて考えてみる。例えば、地元のスナックに週三回も通っていたら、いわゆる「常連」にあたらないだろうか。となると、週三回もカジノに行けば、ギャンブル依存症の恐れはないのだろうか。

入場料六〇〇〇円は、財布のヒモが固い僕には、確かに効果がある。「(僕にとって高級となる)二〇〇〇円のフルーツパフェを三回食べたほうがお得」との思考回路となるからだ。ところが、カジノで勝てると踏むギャンブラーはそうではないだろう。「六〇〇〇円を払っても、その数倍儲かる」と考えるに違いない。