2025年の大阪・関西万博が終わった後に開発される、カジノを含む統合型リゾート、IRの予定地、大阪市此花区の夢洲に土壌汚染問題が発覚し、大阪が揺れている。
ラスベガス
写真=iStock.com/Alina555
MGMブランドの世界展開。写真はMGMグランド・ラスベガス

昨年12月に大阪市の松井一郎市長は土壌汚染、液状化、地中埋設物など地盤に問題が生じ、土地所有者として責任があると、790億円の支出を決めた。現在、最も懸念されているのが、土地課題が判明した上、新型コロナウイルス感染拡大で観光客が激減するなど不透明な経済情勢で、大阪IR社が本当に事業者として開業するのか。撤退する可能性はないかという点だ。

IRを運営する事業者に決定しているのは、日本のオリックスとカジノ大手のMGMリゾーツ・インターナショナル(米国)が合弁で設立した大阪IR株式会社だ。大阪IR社は今年2月22日に大阪府、大阪市と<大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域整備等基本協定書>を締結している。

大阪府、大阪市はホームページでその内容の「概要」としてA4サイズで2ページ分のみを公開しているが、AERAdot.は協定書全文43ページを入手した。

協定書にはIRの<事業日程>として以下のように記している。

<大阪市会への付議(認定申請の同意) 2022年2・3月頃>
<大阪府議会への付議(認定申請) 2022年2・3月頃>
<区域整備計画の認定 国土交通大臣 2022年秋頃>
<事業用地定期借地権設定契約の締結 2022年冬頃>

などの手順が細かく記され<遵守するもの>として、原則、変更できないとされている。

しかし、協定書の第4条には、<本件土地等について本基本協定の締結時における通常の想定を超える地中障害物若しくは地質障害の存在が判明>

<新型コロナウイルス感染症の再流行その他SPC(大阪IR社)又は設置運営事業予定者等のいずれの責めにも帰すべからざる重大な事由により、本事業日程の変更が必要になったことを主たる理由>という場合、3者間でIR事業の日程変更、開業の延長などの協議ができるとなっている。