たまごは善玉コレステロールを増やしてくれる

健康診断などでLDLコレステロール値の正常範囲は140mg/dl未満とされていますが、僕は40~65歳以下の人でLDLコレステロール値180mg/dl未満の場合にも、すぐに服薬治療を行うのではなく、食生活改善と運動を勧め、薬に頼らないでコントロールしていくよう指導しています。

一方で、コレステロールを下げる薬(スタチン系薬)には、体の炎症を抑えたり、肝臓の線維化を防いだりする効果があり、服薬している人は脂肪肝の発症リスクが15%も低いことがわかりました。これはつまり肝臓ガンの予防になるということです。そこで、お酒を飲む習慣のある人や、脂肪肝のある高脂血症の人には、場合により、スタチン系薬を続けるようにしています。

たまごの場合、コレステロールが豊富なだけでなく、血中コレステロール値を調整して、HDLコレステロールを増やすはたらきをもつ栄養素もあわせもっています。

肉料理が多い人はたまごや青魚を加えて

それが、レシチンです。ブレインフードと呼ぶゆえんとして先にも紹介した、卵黄に豊富に含まれるこのレシチンには、LDLコレステロールを溶かして減らし、HDLコレステロールを増やすはたらきがあります。たまごは善玉コレステロールを増やすのです。すごいですよね。

鎌田實『長生きたまご』(サンマーク出版)

さらにたまごには、LDLコレステロールを減らす効果のあるオレイン酸や、血中コレステロール値を上げにくくするリノール酸が豊富に含まれます。

つまり健康維持に必要な「脂質(コレステロール)」を食べていくうえで、たまごは体内のコレステロールのバランスを適正に保ちやすい、中庸的な食べ物なのです。現代の食生活では、どちらかといえばLDLコレステロールを多く含む肉類などの動物性脂質を摂りすぎる傾向にあります。

肉料理を多く食べている人は、1日3食のおかずにたまご料理や、青魚料理(魚油に含まれるDHAとEPAはHDLコレステロールを増やす効果が高い)を積極的に加えて、バランスを整えましょう。

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