定着するプロセスが必要

一方、これはただ走り続ければ脳力が上がり続けるということではありません。

BDNFが増えるということは、ニューロンが新しい強い結び付きを持つ可能性がある土台ができる、ということに過ぎないのです。

例えば、野菜をつくるにしても、豊饒な土壌がある上に、しっかり耕しながら酸素を土の中に多く含ませたり、必要な日照を与えたりしながら育ててあげる必要があります。

同様に、BDNFが増え、結び付いたニューロンもちゃんとした回路として定着するプロセスを辿って行かなければ、残念ながら脳細胞となることなく死んでいってしまいます。

これでは、脳力を上げることには結び付きません。

「創造的な仕事」を習慣化する

では、どうしたらいいのか?

まずは、有酸素運動をした後に、創造的な仕事をする習慣を持つのをおすすめします。

2007年に行われたある実験では、

50歳から64歳までの成人40人を、2つのグループに分け、1つのグループには、最大心拍数の60%から70%の間で有酸素運動を35分続けてもらい、もう1つのグループには、その間、映画などを見て過ごしてもらいました。

そして、その後両方のグループに、創造性を試すようなテストを受けてもらったところ、運動したグループは、答える速度や問題の認識力が著しく向上しました。

有酸素運動によって、BDNFが増加すると同時に、新しいニューロンの結び付きが生まれることで、脳が活性化し、その後の創造的な仕事を促進したのです。

写真=iStock.com/Chalirmpoj Pimpisarn
「創造的な仕事」を習慣化する(※写真はイメージです)