美味しいお酒を飲むコツ

飲みの席で話したことなんて、所詮しょせんはその場限り。

弘兼憲史『迷わない生き方』(プレジデント社)

そう割り切っておけば、変な誤解も勘違いも起こりません。「また始まったよ」くらいの気持ちでドンと構えておけば、そのやりとりすらも毎回の楽しみに変わります。

この前提が共有されている飲み会は、参加者の誰もが勝手気ままに会話を交わす、楽しいひとときになるでしょう。

もちろん、「お酒の席での約束こそ大事」という考え方があることも認めますが、そんなことに囚われていたら美味しいお酒が飲めなくなってしまいます。

飲み会の翌日に、「ああ言っていたけど本当?」などと、いちいち前夜の話題について問い詰められたらたまったものではありません。

「馴染みの店」より「新しい店」

お酒といえば、あなたは馴染なじみの店を持っていますか? 馴染みの一軒を持って、“大人”といえる――なんて考えもあるようですが、果たしてそうでしょうか?

常連になると「幻の名酒が入りました。近いうちに、ぜひ」とか、「今日はいい○○が入りましたよ」なんて連絡が店から届くようになります。

店主から「いつものでいいですか?」「お好きな○○が入ってますよ」「今日は特別に○○をお出しすることができますよ」なんて声をかけられ、いい気分になる人もいるでしょう。

でも、常連の店にしばらく行けなくなると、「そろそろ行かないとなあ」というプレッシャーを感じるようになり、久しぶりに訪れれば「お久しぶりです」とか「お見えにならないから心配していました」なんて言われたりします。

こうした関係が、正直、「面倒くさい」とも思ってしまうのです。

……という理由から、ぼくは同じ店にはあまり行きません。

なにより、東京には次から次へと新しい店ができるので、ぼくも次々と初めての店のドアを開けたくなる。その興味が尽きないのです。