野田氏は“選挙に強い”

ここで野田聖子さんだ。

野田聖子氏(写真=内閣官房内閣広報室/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

26歳で岐阜県議に、32歳で衆院議員に初当選した野田さんは選挙に強い。2005年の郵政民営化法案で反対票を投じて離党、小選挙区に女性候補の「刺客」を立てられたが当選、敵を「復活当選」に追いやっている。

だから野田さんは、自民党で自民党らしからぬ主張ができる。その代表が「選択的夫婦別姓」だ。

選択的夫婦別姓とはいえば野党より野田さん。選択的夫婦別姓を求める人(事実婚歴33年の私もその1人)は、みんなそう思っていると思う。

コロナ禍の最中に見たwebセミナーの一つに、「夫婦別姓なんで足踏み?!」(朝日地球会議plus)がある。もちろん野田さんも出ていた。司会者が「旧姓を使用している国会議員が、なぜ夫婦別姓に反対するのか?」と聞いた。

橋本聖子さん、丸川珠代さん……自民党にも旧姓を使用している議員はたくさんいる。

それに対する野田さんの答えが深かった。「女性議員でいると、中核の思想を持っていたほうが残りやすいから」。「中核の思想」とは「『女は家にいろ』的な」ものだと付け加えていた。

「おじさんの詰め合わせ」で女性の出世は難しい

すごく腑に落ちた。

高市さんの「夫婦別姓ノー」はもうさておくが、上川さんも「個人的には賛成だが、時間をかけて討論すべき」と主張している。選挙に苦労すればするほど、中核の思想と離れ難くなる。そのことがよくよくわかった。

選挙の強い野田さんは、中核の思想と離れられる。代わりに総裁選への道が遠くなる。推薦人の壁だ。前回は何とか集めたが、今回はダメだった。

公示前日、野田さんは総裁選立候補断念の会見をし、小泉進次郎候補の推薦人になることを表明した。本人から何度も電話をもらい、仲間と何度も協議した結果、受けることにした、と。

野田さんと小泉さんは似ている。どちらも祖父(小泉さんは父も曽祖父も)が政治家だ。

野田さんは37歳で郵政大臣になり、「戦後最年少」の入閣だった。小泉さんが環境大臣になったのは38歳、「男性としては戦後最年少」だった。

小泉さんは「選択的夫婦別姓」の実現を公約にしている。男性は少しくらい変わり者でも許容されるし、メインストリームも歩ける。

女性の場合、変わり者はあくまでも変わり者。これ、何度も会社で実感してきたことだ。ブラボー、ボーイズクラブ日本。高市さん&上川さん、ファイト!

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