“中興の祖”を徹底的に敬った
高市さんは「強い」という言葉が好きだ。
9月12日に自民党本部で開かれた9人による演説会も、最後は「強い強い、日本列島をともに作っていこうじゃありませんか」と締めた。「強靭化」も好きで、前回は「日本経済強靭化計画」、今回は「国土強靭化」。
そして高市さんがしたたかなのは、強さとセットで「女子アピール」もできてしまうところだ。何かと言うと「早苗」押しで、今回は「サナエあれば、憂いなし」で前回は「サナエノミクス」。「高市」は使わない。
私は昭和の、それも雇用機会均等法以前から会社員生活をしていた。だからつい、物事を会社に置き換えて考える。
その思考で書くなら、高市さんは会社の「中興の祖」を徹底的に敬い、追従する作戦によって地位を得た人だ。中興の祖はどんどん「一強」になっていったから、「ですよねー」な社員はわらわらと増えた。
が、高市さんは勉強も怠らなかった。福祉よりも財政など、「女性らしからぬ」分野でこそ頑張った。あっぱれと思うのだが、それってほんとに高市さんなの? という話は後から書く。
ルッキズム発言にも“やむなし”の上川氏
上川さんの出馬表明は告示日の前日、11日だった。
20人の推薦人集めに苦労したのだが、12日に出演した「報道ステーション」(テレビ朝日系)では、「(候補者は)派閥に頼らず、派閥が(候補者を)決めない」ことを証明したと語っていた。
上川さんの推薦人で一番多いのは、麻生(太郎副総裁)派で9人だ。それを伝えた「news23」は、「これで上川さんは麻生さんの言いなりになるだろうな」という「他陣営」の声を紹介していた。
うーん、そうかー。と思ったのは、麻生さんと上川さんのあの件があるからだ。
詳述はしないが、麻生さんは今年1月、地元での講演会で外務大臣の上川さんを「新しいスター」とほめた。が、ほめるにあたり、ルッキズム(外見至上主義)と言われてもやむなしの言葉も口にした。
エラい人であればあるほど、自分に自信がある。「時代が変わりましたよ」といくら諭されても、本音は変わらない。
おじさんが取り仕切る組織で生き残ろうと思ったら、ルッキズム発言など当然と思わねば。と、会社員生活で学んではいた。