オバマ政権の「介入」によって、戦火が広がった

昨今の歴代アメリカ大統領で、戦争に介入していない大統領はトランプ大統領だけです。

対して、ベビーフェイスのように持ち上げられた、その前の大統領だったバラク・オバマの時代は、イラク戦争の戦後処理が行われていた時期。イラクのサダム・フセイン元大統領が拘束、処刑され、彼に代わる新しい民主主義政権をつくろうとアメリカが何かと介入していた時代です。

また、アフガニスタンのタリバン政権を崩壊させるべく、アメリカが決断したアフガニスタン侵攻は、開戦から2カ月ほどでタリバンに勝利こそしますが、泥沼化してしまいました。結局、アメリカ軍は2021年に完全撤退しますが、その混乱はいまも続いています。

トランプ大統領以前のアメリカは、中東のあちこちで戦火を広げた“招かれざる客”。そのため、いまも現地民の多くがオバマ時代にアレルギーを隠そうとしません。

オバマ元大統領。中東への「介入」によって、戦火が広がった(写真=Lance Cpl. Aaron Dubois/PD US Military/Wikimedia Commons

バイデン氏の大統領就任で、「中東諸国の不安」が現実に

現在のアメリカ、バイデン大統領は、オバマ大統領の副大統領でした。

2020年のアメリカ大統領選挙前に、サウジアラビアの新聞「アラブニュース」は、アラブ圏の21カ国に対して、「もしもバイデンが大統領になったら中東はどうなると思いますか?」というアンケートを取っています。

老若男女問わず、8000人のアラブ人にアンケートを取ったところ、54%(およそ4200人)の人が回答し、その半分以上の人たちが「オバマ政権の頃の中東に逆戻りする」と答えているんです。

そしていま、どうなっていますか?

イスラエルとハマスが衝突し、サウジアラビアは共同声明でアメリカとイスラエルを非難するまで関係は冷え切ってしまいました。テルアビブからジェッダに向かう直行便の話は夢のまた夢。

彼らの予想は、現実のものになりつつあります。

「第三世界」の声が大きくなっている背景には、アメリカをはじめとした「第一世界」の失態もあるんですね。これも国際情勢を客観視したとき、大きなポイントです。特に、バイデン政権が取ってきた態度は、アメリカ離れを加速させるものでした。

反面教師を知ること。皮肉なことに、それもまた、これからの時代を生き抜いていくうえで欠かすことのできない「教訓」なんですね。