「ながら勉強」は最悪
もし、先の実験で「テレビをつけたときのほうが速かった!」という場合は、逆にテレビの内容をまったく覚えていないと思います。テレビの音に注意が向かないように脳を働かせた結果です。
当然、その分、脳には負荷がかかるため、長時間の集中は難しくなります。つまり、「脳のエネルギーの無駄使い」ということです。
私自身、論文を書くときには耳栓をして、なるべく無音の中で行うようにしています。自分の息子たちには、勉強するときは部屋にスマホを持ち込まないことを約束させていました。
皆さんもぜひ、「ながら勉強」が癖になる前に、お子さんによく言い聞かせて、「勉強中は無音にする」約束をしておきましょう。
併せて、お子さんがリビングで勉強をはじめたら、親御さんはきっぱりとテレビやラジオ、音響機器をすべてオフにすることを習慣にしてください。
脳のパフォーマンスを左右する「室温」
さらにもう1つ、勉強中の脳のパフォーマンスを高い状態で維持するために欠かせない重要な要素があります。「気温」と「室温」です。人間の脳は、気温や室温が高過ぎても、低過ぎても、その働きを著しく落としてしまいます。
特に近年は、夏の気温上昇が問題視されています。猛暑で熱中症を発症すれば、体内のあらゆる臓器の働きが一気に低下し、多臓器不全に陥ってしまいます。
アメリカ公立学校の調査では、摂氏32度の日に試験を受けると、最適とされる摂氏22度の日と比較して、標準偏差で14%の成績低下が見られることが分かっています。
たとえ熱中症にまで至らなくても、気温が高過ぎる状態になれば、脳は働きを大きく低下させてしまう可能性があるのです。