いつの間にか禁煙に成功し、飲み代も激減

早起きの習慣の波及効果は、それだけには留まりませんでした。

ストレスが減ったためか、禁煙しようと思ったわけでもないのに、タバコの本数はどんどん減っていき、ついには1本も吸わなくなりました。仲間と飲みに行っても、それまではダラダラと2次会にも参加していたのに、5時30分に起きるためにキッパリと断るようになり、酒量も毎月の飲み代も激減。

また、朝の30分を使って、仕事のアイデアを考えるようになってから、仕事へのモチベーションも非常に高いものとなりました。この流れの中で、自分の根本的な能力にも、さらなる可能性を感じられるようになってきました。

そして、気が付くと、上司をはじめとするまわりの人との人間関係も改善していることが実感できました。数カ月後には、自分の中にゆったりとした余裕が生まれてきた感覚と、自分らしく仕事と人生を楽しめるようになっているMさんがそこにいました。やがて、会社での昇進も果たし、よりやりがいのある仕事を任せられたMさんの意識は、それまでの自分中心のものから、まわりの人間への貢献から得られる幸福感に移行していきました。

このようにして、行き詰まっていたMさんの人生は、とても豊かなものへと一変したのです。

スイッチとなる習慣を1つ見つけるだけ

「人生において、本当にやりたいことができるようになった」と、Mさんは言います。

いったいどうしてこんなことが起きたのでしょうか?

1つの習慣を身に付けたことが、自分を、そして自分の人生を大きく変えていく。こんなことが実際に起きるのです。

写真=iStock.com/mapo
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そのためにやることは、スイッチとなる習慣を1つ見つけ、それを習慣化する。たったそれだけなのです。

Mさんのエピソードが偶然ではない訳をお話しましょう。

オーストラリアの研究者ミーガン・オーテンとケン・チャンが行った実験では、被験者に2カ月にわたる運動プログラムに取り組んでもらいました。ジムに週3回通い、ウエイトトレーニングやエアロビクスなどを行うというプログラムでした。運動の習慣が付くことによる影響を調べる実験です。