3カ月続けることで、生活パターンが定着

実は、Mさんには、忙しさにかまけて、家族との時間をあまり取れていないことが、ずっと心に引っかかっていました。たまに取れた一緒の時間も、いつも心ここにあらずのような状態で、子どもたちと本気で楽しむ時間にできていなかったことに、心からの後悔がありました。

コーチングセッションで、「家族との充実した時間をしっかりとりたい」ということが、本当の願いであると気付いた時、「朝5時30分に起きる」という目標がその願いとしっかりと結びつきました。

そのための最適な時間は、Mさんにとっては朝でした。朝、子どもと一緒に家の近所を散歩しながら、おしゃべりをしたり、家族全員で楽しく朝食をとったり、時々子どもの宿題を見てあげたりすることが、Mさんのイメージの中にありありと表れました。こうして、「毎朝5時30分に起きる」という習慣化目標が、非常に腹落ちした感覚で生まれてきたのです。

ダイニングルームで食事をする4人家族
写真=iStock.com/b-bee
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習慣化の最初は、意識しながら毎日続けることが肝心です。Mさんの心の灯は、それを実行するに十分なパワーを持っていました。3日、3週間と、Mさんの5時30分起きは定着していきました。1カ月を過ぎる頃には、目覚ましの力を借りる必要もなくなっていました。そして、3カ月を過ぎると、自分の生活パターンとしてすっかり定着した感覚がありました。

月46.5時間の「朝活」がもたらした変化

それまで全てに行き詰まりを感じていたMさんが、自分の思い通りになるものを1つ、しっかりと手に入れたのです。

毎日の早起きは、Mさんにさまざまな利益をもたらしてくれました。その中には、家族との充実した時間のみではなく、自分自身の時間の充実もありました。これまで、遅々として進まなかった英語の勉強も驚くほどはかどり、読書をしていても、これまでとは比べものにならないほど理解が進み、楽しんでいる自分がいました。

そして、TOEICの点数は、数カ月で200点以上も上がり、読書量もそれまでの数倍になっていました。また、毎朝15分間の体操と軽い運動の習慣がついたことによって、朝の爽やかさが増し、健康への自信も高まっていきました。

朝5時30分から7時まで、1日あたり1.5時間の充実した時間は、1カ月では、1.5時間×31=46.5時間となり、1年では、1.5時間×365=547.5時間という膨大な時間となります。しかもこれが、朝という最も脳が活性化する時間に行われる効果は計り知れません。