「したいこと」を我慢すると、みるみる老化していく
歳をとってくると、本当はしたいのに「いい年をして」という言葉が頭に浮かび、我慢してしまうことはありませんか? でもやはり、したいことは我慢せず、やったらいいと思います。
例えば、男性高齢者の性的な欲求(エロティックなもの)などですね。世間の常識では「年甲斐もなく」と非難されそうですが、健康面からいえば、積極的になっていいと思います。なぜなら、男性ホルモンが増えるからです。もちろん、法律に反しないことが前提ですけれども。
「したいこと」は、エロティックなものだけではありませんし、男性に限った話でもありません。「楽しいな」「面白そうだな」と思うなら、自分にブレーキをかけず、どんどんやってみたらいいのです。
人間の体はよくできていて、使わない機能は退化(廃用性萎縮)し、使えば活性化していきます。衰えに任せて使わなければどんどん衰退し、奮起して使えば活性化していくのです。脳はその傾向が顕著な器官です。そして、最も脳の活性化に効果があるのが「したいことをする」ということです。人間らしさを司る脳の前頭葉にとって、それはとても刺激的なことになります。
楽しいこと、面白そうだと思うことほど刺激的です。反対に、つまらないことや我慢を強いると、脳の働きは鈍ります。我慢をして毎日をつまらなく生き、脳を萎ませていくか、したいことをして毎日を元気ハツラツと生き、脳を活性化させていくか……。したいことをすることは、脳の老化を防ぐためにも重要なのです。
一流のモノばかりでなくていい。「自分にとっての本物探し」をする
脳が喜ぶとっておきの場所としてぜひ足を運んでほしいのが落語の寄席です。寄席で落語家さんの話芸に触れ、笑いに興じましょうというわけです。同じ「笑い」でも、テレビのバラエティ番組の笑いに脳はあまり反応しません。やはり「本物の芸」に触れれば脳も喜ぶ、つまり「脳から笑う」ことができるのです。
ところで脳が喜ぶ「本物」というのは、何も万人に認められた「一流」である必要はありません。例えば食べ物なら、寿司、ラーメン、餃子、そば、コロッケ……など身近なものでも、「これには一家言ある。こだわりがある」といえるものがあれば、それだけでもあなた自身は「本物」と感じるものです。
三つ星レストランのメニューではなく、B級グルメでも、あなたの舌が「極上」と評価するのです。そういうものを、自分の足で探して見つけてみましょう。それが、「自分にとっての本物探し」ということです。
すでに自分の日常になっているものではなく、まだ知らないけれどきっと「これだ!」と思えるものをワクワクしながら探索しているとき、前頭葉も興奮してフル回転します。
前頭葉は未知のものが大好きです。そして本当に「これだ!」と思えるものに出会えた瞬間、脳は至高の喜びを味わい、活性化されるのです。