テスラ、BYDのEVは「走るスマホ」である

現実的に考えて、トヨタがテスラに追いつき追い越せる可能性はあるのか。

まず、トヨタの資金力と、自動車製造における抜群の技術力に疑う余地はない。だが、EV開発には、自動車製造における抜群の技術力以外のものが必要だ。ガソリン車やハイブリッド車には搭載できない技術、すなわち情報通信技術である。

たとえば、EVのトップメーカーであるテスラやBYD(中国)が製造しているEVには、常時インターネットに接続できる機能がついている。

つまりテスラ製、BYD製のEVは、いうなれば「走るスマホ」なのだ。スマホは、端末を変えなくても、OSがアップデートすると新しい機能を加えることができる。それと同じようなことがEVでも可能になっているのである。

たとえば、自動運転で駐車できる機能を、テスラはEVの販売開始後にリリースした。まさしくOSのアップデートによって、すでに手元にあるEVに新機能が付与されたわけだ。その他、数カ月に1回くらいのペースで細部の機能が改良されている。

ここから言えることは何か。EV開発では、「電気で動く自動車」というハードウェアを作る技術だけでは足りない。ソフトウェアを充実させることが必須条件なのである。

勝ち取るべきは「ソフトウェアに強い人材」

スマホは、バッテリーの持ち時間や処理速度、あるいは強度といったハード面と、OSやアプリなどのソフト面の両方から成る。EVも、これとまったく同じなのだ。

そう考えると、IT企業を率いてきたイーロン・マスクが代表を務めるテスラが、EVで圧倒的な強みを発揮しているのもうなずけるだろう。

堀江貴文『ホリエモンのニッポン改造論』(SBクリエイティブ)

トヨタも、テスラに追いつき追い越すには、ソフトウェアに強い人材を集めることだ。しかし、私の見たところ、動きは鈍い。トヨタの経営陣がソフトウェアの重要性に気づいているのかどうかも怪しいものだ。

これは日本企業の古き体質にも原因があると思われる。

日本の大手企業はソフトウェアの開発が得意ではなく、大部分を下請けに回してきた。トヨタも、パナソニックや子会社のデンソーなど車載器メーカーに頼っているという実態がある。さらにまずいことに、子会社は、実質的な開発を孫請け会社に任せている。

つまり、ソフトウェアに強い人材が親会社にも子会社にもいないのだ。このソフトウェアの課題に一日も早く気づき、ソフトウェア人材を確保しない限り、トヨタはEVで巻き返せないまま、じわじわと弱っていくだろう。

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