「持ち家vs.賃貸」論争の衝撃的な回答
「持ち家か? 賃貸か?」
ネット上ではしばしばこの論争が生まれます。ですが、その答えは永遠に決着がつくことはありません。
持ち家派は「住宅は資産になるので賃貸より有利」、賃貸派は「家を持つと移動の自由が制限される、生活スタイルや家族構成の変化に対応できない」と主張します。
つまり、持ち家派はその資産性に注目して家を持つことを推奨するようです。
筆者は前職では、民間の指定確認検査機関の立場で、国土交通省が立ち上げたBELS(建築物省エネルギー性能表示制度)や建築物省エネ法が新規制定された際に、民間の住宅性能に関する専門家として、国の委員会に入り、制度設計に携わりました。また現在は、高性能な住まいづくりをサポートする会社を経営しています。その専門家の立場から、この論争について衝撃的な回答をしたいと思います。
結論は、「持ち家も、賃貸も資産にはならない」です。
投資額はどんどん上がるのに、資産額はほぼ増えない
ただし、この答えには条件があります。現状の「日本の」住宅は資産にならないというものです。
日本だけが住宅が資産にならないと言われてもピンとこない方が多いかもしれません。しかし残念なことにそれは事実なのです。
その理由を本稿では紹介します。
図表1は、国土交通省のサイトに掲載されている資料です。
このグラフが示すのは、日本の住宅(右側)は住宅に投資しているのに、住宅が資産にならないということです。
赤い線グラフが住宅の投資額、青い棒グラフが住宅資産額です。どんどん乖離していることがおわかりいただけるかと思います。