投資した額の半分以上が消えてしまっている
一方、アメリカは住宅投資額がほぼそのまま資産として積み上がっています。これは欧州諸国も同様です。イギリス、フランス、ドイツも、おおむね住宅投資額に連動して、住宅資産額が積み上がっています。
一方、日本の場合、住宅に投資したお金は資産にならずにどこかに消えてしまっており、その差額は約500兆円にも上っています。
日本国民が住宅に投資した額の半分以上は資産として積み上がらずに、消えてしまっているのです。
つまり、われわれ日本は欧米に比べて圧倒的に住宅が資産にならないのです。住宅ローンを一所懸命返済しても、肝心の住宅が資産にならないのですから、欧米に比べて、家計のバランスシートは健全になりにくいわけです。
イギリスの141年に対し、日本の寿命はたった30年
ではなぜ、日本だけが、住宅が資産にならないのでしょうか?
理由はいくつかありますが、最大の理由のひとつに、日本の住宅が極端に短寿命であることが挙げられます。
少し古い資料ですが、図表3のグラフを見ると一目瞭然です。欧米の住宅の平均寿命は、80~100年以上であるのに対して、日本は何と30年で寿命が尽きてしまいます。
この違いは住宅政策の考え方によるものと言われています。
欧米では長く大切に使っていくことを前提とした「ストック型」という考え方であるのに対して、日本では、戦後から高度経済成長期にかけて、「質」より「量」と割り切り、「スクラップアンドビルド」を前提とした「フロー型」の考え方で住宅政策がとられてきました。
その後、「量」は充足したため、現在の日本の住宅政策は、「ストック型」に移行し、住宅の長寿命化を図ろうとしています。しかし、欧米に比べればまだまだと言わざるを得ません。