業者の点検でも発見しにくい

つまり、蟻道を作らないため、床下の点検では発見しにくいのです。さらに、屋根裏等の構造材にも巣をつくりますから、建築基準法で要求されている地盤面から1mの防蟻処理ではなく、家全体への防蟻処理が必要なのです。

【図表】地下シロアリの蟻道
筆者提供
【図表】地下シロアリと乾剤シロアリの違い
筆者提供

すでに横浜市や都内の一部の区では、被害が面的に広がりつつあります。残念なことに、現在多くの住宅会社のシロアリに対する保証は、アメリカカンザイシロアリの被害は対象外になっています。これから新築する人は、ぜひ住宅会社に確認してみてください。

15万~20万円程度で対策できる

では、このシン・シロアリとでも言える外来種のアメリカカンザイシロアリから家を守ることは可能なのでしょうか?

実は、それほど難しいことではなく、多額の費用がかかるわけではありません。筆者が普段お客さまにお勧めしているのは、屋根の構造材まで含めた主要構造部すべてをホウ酸処理することです。

普通の規模の住宅ならば、地盤面から1mまでホウ酸処理を行うのに対して、15万~20万円程度の追加費用で済みます。筆者が経営する会社がご紹介している提携先には、当社からの紹介の特典として、「主要構造部ホウ酸処理無料」にしてくださる工務店・ハウスメーカーも少なくありません。

【図表】主要構造部のホウ酸処理
筆者提供

家を買う際は「シロアリ対策」を必ず聞く

ここまで読んでいただくと、日本の住宅業界の現状に驚いた方も少なくないかと思います。ほかにも、日本の住宅寿命を伸ばすために、壁の中で結露を生じさせないように、高気密・高断熱化をはかる必要があるなど、さまざまな対策がありますが、それは別の機会にご紹介します。

まずは、住宅を新築・購入する際には、どのようなシロアリ対策が行われるかの確認だけは必ずしてください。

残念なことに現状の日本では、持ち家を本当に資産にするためには消費者の知識が求められているのです。

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