老後を一人で暮らす「おひとりさま」が増えている。しかし、「孤立化」によってさまざまな危険にさらされやすいという。安心して老後を過ごすにはどうすればいいのか。相続実務士の曽根恵子さんらが監修した『おひとりさま[老後生活]安心便利帳 2025年版』(扶桑社)の一部を紹介する――。
60代男性の孤独死が突出して多い
高齢者のおひとりさまは、家族と暮らす人に比べて日常生活を送るうえで気をつけなければならないことが多くなります。
なにより、気をつけなければならないのが「孤立化」です。おひとりさまは、自らが積極的に働きかけないと、外部とのつながりがなくなってしまいます。
孤独になると健康状態が悪くなることも報告されています。『高齢社会白書』(令和5年版)によると、社会活動に参加した人は、参加したことがない人に比べて健康状態が良い割合が高いとされています。そして、孤立化は、最終的に「孤独死」につながります。
孤独死した人の死亡年齢の構成比を見ると、男性の30.6%が60代、22.5%が70代、16.9%が50代と、60代が最多です。一方、女性は22.5%が70代、19.9%が60代、16.8%が80代以上となっています(図表1)。
孤独の健康リスクはタバコよりも大きい
危険① 孤独死
高齢者のおひとりさまにとっての懸念事項には、「孤独死」「孤立化」が挙げられます。孤独死・孤立化を防ぐために、見守りサービスなどのさまざまなサービスもありますが、近所に友人・知人をつくることでも解決できます。
そのためには、積極的に社会参加する姿勢が必要です。高齢者向けの趣味や学びのサークルや市民講座は、多くの自治体や地域で実施されています。そうした行動が苦手な人は地域包括支援センターなどに相談するといいでしょう。相談する相手がいることも、孤独死・孤立化を防ぐことになります。
話す機会をつくることは、気持ちも楽になるでしょうし、認知症予防にもつながります。