自分の意図をコントロールする力をとり戻す

マニフェステーションとは基本的に、理想の人生に関する思考やイメージを、意図的に自分の潜在意識に埋め込むプロセスのことだ。

わたしたちはみな、自分の潜在意識に蓄積された意図を現実にしながら生きている。ただ、きちんと訓練を受けたわけでも、正式な方法を知っているわけでもなく、正しくマニフェステーションを行うことができないので、現実は単なる偶然の結果だと思ってしまっているのだ。

意識的にマニフェステーションを行うには、自分の意図をコントロールする力をとり戻さなければならない。そしてその過程で、マニフェステーションの生理学的なしくみや、わたしたちの足かせになっている間違った思い込みについても理解する必要がある。

脳は「現実」と「イメージ」の違いがわからない

自分の意図を意識的にコントロールし、自分が望む目標に意図を向かわせると、そのときに頭に浮かんだイメージが脳にとって重要な存在になる。

こうやってイメージを脳にインストールするプロセスは「価値タギング」(※4)と呼ばれる。「タギング」とは、重要な情報やファイルを探しやすくするために印(タグ)をつけるという意味だ。脳は価値タギングによって、潜在意識のもっとも深い部分に刷り込む価値のある情報を決めているのだ。

視覚化を行うと、わたしたちのなかには、力強く、前向きな感情がわきあがる。それが情報を選別するフィルターのように働き、もっとも価値が高く、脳の報酬系と関連するイメージにタグがつけられる。視覚化に効果があるのは、人間の脳には現実の体験と鮮明なイメージを同じものとして扱うという驚くべき機能があるからだ。

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イメージが潜在意識にインストールされると、脳はまるで優秀な警察犬のようになり、そのイメージを現実にするチャンスを探しはじめる。顕在意識の力と潜在意識の力を総動員して捜索するのだ。その状態でチャンスが到来すると、わたしたちは即座に反応し、将来の目標に向けて必要な行動をとる。このプロセスを何度も何度もくり返し、そのあとは結果に執着せず、自然のなりゆきにまかせればいいだけだ。

※4 価値タギング Tara Swart, The Source: The Secrets of the Universe, the Science of the Brain. (New York:Harper One, 2019).