過去の愛人問題はリベラル派に影響なし?

ブラウンがサンフランシスコ市長になったのを機に愛人関係は解消したが、カマラが2003年にサンフランシスコ地方検事、2011年にカリフォルニア州司法長官に選出され、2016年に上院議員になった過程でもブラウンは応援し続けた。

一部の保守派は、SNSで「枕営業でトップに上り詰めた」ことを示唆する内容を投稿しているようだが、リベラル系の米国人は不思議なことにそれほど致命的なこととは考えてないようだ。

人間関係を築くのは得意で、地元ではナンシー・ペロシ元下院議長などから支持され、クリントン夫妻、オバマ夫妻も味方につけたことが、2021年に副大統領となるのに有利に働いた。

思想的には急進的なリベラルで、大麻合法化(大麻の連邦レベルでの合法化を支持)、妊娠中絶の権利保護(州による妊娠中絶の制限に反対)、売春の合法化(一貫した立場を表明していないが性労働者の保護を強調)、死刑の廃止(全国レベルでの死刑の廃止を支持)、銃規制(銃暴力の被害者が銃メーカーを訴える権利を支持)、重罪犯の社会復帰(再犯防止と社会復帰支援プログラムを提案)などを主張している。

ただし、検察官時代に犯罪者に厳しかったとリベラル派からは批判がある。また、外交姿勢では、イスラエルに対してバイデン大統領より厳しそうだ。

2011年10月14日、カリフォルニア州司法長官としてコメントするカマラ・ハリス氏(写真=Office of the Attorney General of California/PD-US-GovEdict/Wikimedia Commons

日本では知名度が低く、政治的関わりも薄い

日本ではカマラの知名度は低く、人気があるとはいえない。米国ではカマラは美人で魅力的な政治家と見なされており、それがゆえにバイデン夫人などには嫌われたとも言われているのとギャップがある。

とくにいわゆる日本の保守派は、ハリスの大声での笑い声を嘲笑し、移民問題から逃げてきたと批判し、カマラが大統領になることはないと決めつけてきた。私は、そうはいってもバイデンの後継者レースではほとんど常にトップランナーだから、もっとケアしたほうがいいと苦言を呈してきた。

来日は、2022年の安倍元首相国葬の時だけで、外務省のフォローも十分でなかったのではないかと危惧する。また、サンフランシスコが基盤なので、大阪市長時代に慰安婦像を理由に姉妹都市提携を打ち切った大阪の吉村洋文知事にとっては困った相手だ。