コンビニなどで拡大する「タッチ決済」
現金からキャッシュレスへのシフトが進み、キャッシュレス決済間の競争が激しくなり、QRコード決済が電子マネーを逆転するなか、電子マネーにはさらに分が悪い動きが広がりつつある。
それがクレジットカードなどによるタッチ決済だ。
タッチ決済は、タッチ決済対応カード(クレジット・デビット・プリペイド)または、同カードが設定されたスマートフォン等を、店頭の専用端末にタッチするだけで、完了する支払い方法だ。サインも暗証番号の入力も不要であり、ビザをはじめ、マスターカード、JCB、アメックスなど各社が世界中で普及に力を入れている。
端末に差し込み暗証番号などを入力する従来型のクレジットカード決済や、スマホアプリを立ち上げるQRコード決済よりも早く、電子マネーと大差なくワンタッチで完了することから、コンビニ、ファストフード店、スーパー、飲食店、ドラッグストア、書店、百貨店、商業施設など、日常生活における利用機会が急速に拡大している。
また、タッチ決済は、国内外で展開されている国際標準のセキュリティ認証技術を活用した決済方法であり、いつものカード利用と同様の安心さも備えている。なお、一定金額(原則1万円)を超える支払いは、カードを挿し暗証番号を入力するか、サインが必要となる。
公共交通機関でも急速に導入が進む
実はこのタッチ決済は、店舗などの利用にとどまらず、公共交通機関での導入(「タッチ決済乗車」)も急速に進んでいる。
「タッチ決済乗車」では、電車はバスなど公共交通機関の乗降時にタッチ決済に対応したカード(クレジット、デビット、プリペイド)、同カードが設定されたスマホなどを専用決済端末にかざすだけで即座に料金の支払いが完了するサービスだ。
国内外問わず、タッチ決済に対応したカード保有者が利用できることから、増加するインバウンドの決済ニーズにも応えることができる。国内では、Suicaをはじめ交通系電子マネーが独占状態だが、Suicaなど電子マネー決済と違い、「タッチ決済乗車」では、事前のチャージを必要としない点も強みである。
国内では、三井住友カードとビザ・ワールドワイド・ジャパンが先駆者として「タッチ決済乗車」の普及に努めているが、2024年6月には、クレディセゾンも、ビザ・ワールドワイド・ジャパンとともに、公共交通機関向けのタッチ決済事業に参入すると発表した。クレディセゾンはサービス導入を希望する公共交通機関、決済事業者に向けたキャッシュレス導入の支援を行うとしており、2024年夏より決済事業者であるモバイルクリエイト(大分市)、年内よりルミーズ(小諸市)と路線バスなどで実証実験の開始を予定している。