「日本は激安で毎日バーゲンセール状態」
日本に移住を目指す人々の多くは日本語ができず、日本社会に対する予備知識も乏しい。日本に長く住む在日中国人から間接的に話を聞いたり、SNSで日本の情報を入手したりすることはあるが、リアルに日本社会に接するのは、実際に引っ越したあとになる。
中国人の友人たちから「日本は物価が激安で毎日バーゲンセール状態だよ」だったり、「日本は町がとても静かで、誰も車のクラクションを鳴らさない。毎日お葬式みたいだ」などの話を聞いたことがあるそうだが、生活して初めて知ることも多い、と話していた。
そんなエピソードを聞くと、逆に日本人のほうが「彼らはそういうことに驚くのか」と驚かされるが、今後も中国人富裕層の日本移住ブームは続くのだろうか。
東京都内で中華圏の人々に不動産販売を行う不動産企業「神居秒算」の執行役員COOであるヤンロン氏によると、「こうしたトレンドは今後数年間、続くでしょう」という。
新宿区、豊島区、大阪市中央区が人気
同社の分析では、最近(24年1~3月)増えている問い合わせは1億円以上の物件で、問い合わせ全体の26%と約4分の1に上る。物件のタイプはマンションが全体の6割(一戸建ては2割、残りはビル1棟など)で、購入者の4割以上が中国(本土)だ。都市別で、圧倒的に多いのは東京(全体の46%)で、続いて大阪、京都、福岡と続く。東京で人気なのは、新宿区、豊島区で、大阪では中央区だという。
ヤン氏によると、「富裕層の多くは海外に新しい投資対象を探しています。投資や自分の住居というだけでなく、日本に留学中の子どものための物件や、安定的な資産運用としての物件など、以前よりも用途が広がってきているというのが特徴です」という。
中国の政治環境の不透明さ、不安定さなどもあり、今後も日本への移住を希望する中国人が増加していくことは必至といえそうだ。