国語の公式をマスターしよう
算数の勉強法と言えば、公式を覚え、それを活用する練習を積むことです。
同様に、国語の勉強法も、公式を覚え、それを活用する練習を積むことです。
いわば“国語の公式”をマスターすることこそが、国語の勉強法なのです。
“国語の公式”だなんて、大げさな表現だと思うかもしれません。そんなもの、あるはずがない――そう思うのも、無理はありません。何しろ、それを明快に教えてくれた人、あるいは本は、これまで皆無に近かったはずですから。
しかし、この本を最後までお読みになったとき、その思いはきっとくつがえされていることでしょう。
国語の公式。それは、言いかえれば「言語技術」です。
そう、国語科とは、技術を学ぶ科目なのです。
子どもの国語力を伸ばしたいのなら、まず何よりも、この点を意識する必要があります。
では、その技術とはいかなるものなのか? それを、次にご説明します。
「国語力」は存在しない
「国語力とは何か」という問いに対し、あなたならどう答えますか?
作文力・読解力・表現力・コミュニケーション力? いずれも、答えになりません。
では、「話す力・聞く力・書く力・読む力」はどうでしょう。
これらは学習指導要領における国語科の分類です。しかし、これとて定義にはなり得ません。
そもそも「力」とは、「なんらかの技術を使いこなすための能力」のことです。技術そのものの姿がぼやけている限り、それは、実体を持たないあいまいな“代名詞”にすぎません。話す力って、具体的に「何をどうする能力」なのでしょうか? 聞く力は? 書く力は? 読む力は?
どれも、具体的な技術の「形」が、ぼんやりしています。「野球力」「バスケットボール力」などという言葉が奇妙であるのと同様、「書く力」「読む力」などという言葉もまた、奇妙なのです。
「野球力」「バスケットボール力」の正体は、投力、打力、走力、跳躍力など、個々の運動技能です。
同様に、「国語力」もまた単なる“代名詞”です。それは「運動力」のようなものであり、実体を持ちません。つまり、「国語力」なるものは存在しないのです。