子供の誕生で気分転換の時間が消えてしまった男性

趣味と仕事の関係は、趣味があるからタフで忙しい仕事でも頑張れる人、趣味のためにタフで忙しい仕事を頑張る人、趣味が息抜きや気分転換となり仕事を頑張れる人などいろいろあるようです。

反対に、メンタル不調で休職した人たちに趣味について聞いてみると、趣味はないとか、趣味を半年以上やっていないという返事が即返ってくることが多くあります。

Dさんは1年前にお子様が生まれた結婚3年目の男性でした。数年前、職場に特にストレスに感じるほどのものはない、結婚して子供も生まれ幸せなはずなのに、なぜか気分がすぐれない日が続くと、産業医面談に来られました。

いろいろ聞いてみると、子供が生まれてから趣味のトライアスロンの練習が全くできなくなり、その時間はすべて家事と育児に変わってしまったため、生活の中から気分転換がなくなってしまったことが不調の原因と思われました。Dさんは、奥様とよく相談し、お互いに月に1~2回は1人の自由時間を設けることにしました。その結果、半年後には元通り元気になりました。トライアスロン大会には参加しなくなったが、それぞれの種目を自分の時間に合わせてやることで、いい気分転換ができていると最後の面談では語ってくれました。

写真=iStock.com/Pavel1964
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平日と休日で趣味を「使い分ける」人も

私は産業医として、多くの働く人たちと面談をする中で、タフで忙しい仕事をしていても、趣味を継続できている人たちには3つの共通点があることがわかってきました。

1つめは、継続してやりたくなる趣味があり、仕事だけでなくその趣味への情熱(気力)や体力を持っていることです。場合によっては、趣味を継続するための経済力もここに含まれていると思います。先ほどのAさん、Bさんに該当します。

2つめは、費やせる時間に合った趣味を持っていることです。多くの働く人にとって、仕事以外の時間は限られています。この限られた時間にできる趣味を持っていることも、趣味を継続できる大切な要因でしょう。

Cさんのように趣味は1つだが、費やせる時間によって楽しみ方が異なる人もいますし、他に休日のゴルフと平日の打ちっぱなしという趣味の人もこれに該当するでしょう。

また、複数の趣味を使い分けている人もいます。平日は帰宅後の時間に合わせてジムに行ったり走ったり、家で楽器やゲームで気分転換し、週末は日帰り登山やアウトドア(キャンプや釣り)、長めの休みがとれた時は旅行などをして過ごしている人はこの典型例だと思います。