※本稿は、佐々木 正悟『「ToDoリスト」は捨てていい。時間も心も消耗しない仕事術』(大和出版)の一部を再編集したものです。
気になっていることのすべてを紙に書く
アメリカ発の有名な仕事術である「ゲッティング・シングス・ダン(GTD)」は、いきなり時間を費やして「気になっているすべてのこと」を紙に書き出すようにいいます。
私が推している「タスクシュート」では、「今日中に手がけるすべてのこと」をひとつのシートにリストアップします。
両者はまったく異なる方法です。しかし、共通点もあります。
どちらにも、「思考を止めて手を動かす」作用があるのです。
先のことを考えると、私たちの心は消耗します。
「あれもこれもまだ終わってないのに、さらにあのプロジェクトと、さっき言われた用事と、ずっと手をつけられていないことなんかで頭がパンクしそう!」となってしまうのです。
気になることを紙に書き出すのであれ、シートにリストアップするのであれ、「それらについていちいち考えなくてもよくなる」という利点は得られます。
これは、用事を忘れなくなるというよりも、思考を止めるわけです。
まずは1分間、思考を停止する
ただ、思考がすっかりクセになっている人も少なくありません。
とくに消耗しがちな人ほど、考えごとに浸る習慣があります。中には、「思考を止められるわけがない。私は自動的に思考してしまうのだから」と抵抗する人もいます。
でもそれはまちがっています。思考はそれほど特別なトレーニングを積まなくても、だいたいにおいて止めることが可能です。
いまでは、どんなスマホにもタイマー機能がついているでしょう。1分間だけセットしてなにもせず、いっさいの考えごとを停止してみてください。
最初から欲張って、瞑想やマインドフルネスに挑戦するのはやめましょう。
「これではとても泳げるようになれそうにない人」でも、練習して水に慣れれば不思議なほどラクに泳げるようになります。考えごともこれに似ていて、考えないほうがずっとラクだと気づくことができれば、そこからは早いものです。