「1分間ダッシュ」でメールを返信する
顔を見ただけで話もできなくなる「いかめしい上司」からきたメールへの返事が滞っているとします。
そもそも、そんなメールへの返事を滞らせるべきではありません。
しかし、そんなことは「百も承知」でしょう。
わかっていてもできないことが、この世にはたくさんあります。
これに限らず、返事や要望をつい後回しにする人の心理には、「失礼があってはならぬぞ!」という自らへの強すぎる戒めがあります。
「バカなやつ」とか「厚かましい」とか相手に思われるのを、なんとかして避けたいのです。
私はこの種の思いへのひとつの対策として、「1分間メールダッシュ」をおすすめすることがあります。
話を聞いていると滞っているメールには、ただ「了解しました!」とか「お願いします!」と1行打てば済むケースがいくつもあります。
いかめしい上司にしてみれば、「了解しました!」と言ってくれれば済むようなメールがなかなか戻ってこないのでは、むしろイライラしてしまうでしょう。
しかしやはり、「わかっていてもなかなかできない」というわけです。
だからこそ、1分間タイマーをセットして、返事してしまいましょう。
1分間というのは、思考するにはあまりにもわずかな時間です。
しかし、1行のメールを返すなら十分な時間でもあります。
「失礼がないように」と考えすぎなくてよい
「わずかな失礼もないように!」と考えれば考えるほど、メールは長くなり、文が長くなれば「失礼の可能性」がむしろ増します。
しかし、「承知しました!」なら間違いようがありません。
これを、「私ごとき無能非才のごときものにあなたのような偉大な方から要望をいただき恐れ多いことでございます。このような大役は本来辞退すべきと存じますが、それもまた失礼かと愚考し、いえ決してご要望を承りたくないとはみじんも考えておりませぬが、しかしなにぶんにも浅学非才の身にて、身に余る大役を仰せつかまつることへの不安を打ち払い、あえて厚かましくもお引き受けいたそうと考え抜いた所存でございます!」と書くと話が伝わりにくくなるでしょう。
誤字や脱字も増えそうです。もちろん1分では返事ができなくなります。
心も消耗し、時間も消費します。
なるべく「承知しました!」で済ませるようにしましょう。相手の心証もおそらくよりよくなるでしょう。
1973年北海道生まれ。1997年獨協大学外国語学部を卒業。2004年Avila University心理学部卒業。2022年タスク管理・時間管理術であるタスクシュートの普及と、自分らしい時間的豊かさの提唱を目的として「一般社団法人タスクシュート協会」を設立。タスクシュートのユーザー数は、25000人を超える。著書に、ベストセラーとなったハックシリーズ『スピードハックス』『チームハックス』(日本実業出版社)のほか、『iPhone情報整理術』(技術評論社)、『イラスト図解 先送りせず「すぐやる人」になる100の方法』(KADOKAWA)、『クラウド時代のタスク管理の技術』(東洋経済新報社)、『なぜ、仕事が予定どおりに終わらないのか?』(技術評論社)、『やめられなくなる、小さな習慣』(ソーテック社)、『人生100年時代 不安ゼロで生きる技術』(三笠書房)、『先送り0』(技術評論社)など。ポッドキャスト「働く人に贈る精神分析チャット(グッドモーニングボイス)」を平日にSpotifyから配信中。