※本稿は、渡邉哲也『世界と日本経済大予測2025-26』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。
製造業、商社、金融のレジェンドが日本経済を牽引し続ける
日本経済の今、未来について大きな視点で分析を試みる。株式時価総額が10兆円を超える日本企業が、2024年10月7日現在で19社となり、過去最多を記録した。1位はトヨタ自動車の52兆4000億円で、続いて三菱UFJFG、以下ソニーグループ、日立製作所、キーエンス、ファーストリテイリング、リクルートHD、NTT、三菱商事、ソフトバンクグループまでがトップ10を形成している。
顔ぶれを見れば、伝統ある企業がかなり頑張っていることに気付く。製造業を中心とした旧財閥系企業が多く、NTTのような旧国策企業、東京エレクトロンなど半導体関連も入っている。
アメリカのトップと比較すると、その違いがはっきりわかる。アメリカは1位から順にアップル、エヌビディア、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン、メタと続くようにIT関連が上位を占めている。
アメリカは日本との競争に負けてモノづくりを放棄
この違いは“お国柄”によるものだろう。日本の上位は基本的にモノづくり、実体経済と表裏一体の企業が占め、対照的にアメリカの上位はほとんどファブレス(工場を所有せずに製造業を行なう企業)で、実質、販売会社、設計会社だ。アップルやエヌビディアなどが高い技術を有しているのは間違いないが、ほぼ知的財産のみで実態の見えにくい会社と言っていい。
アメリカは1980年代に日本との競争に勝てず、実際のモノづくりをほとんど放棄してしまった。自動車のビッグスリー(GM、フォード、クライスラー)も例外ではなく、結果的に海外移転せざるをえなくなった。アメリカで車を作っているのはトヨタなどの日本企業というのが現状だ。