この症状の患者さんにはこう対応する、この薬を処方する、などの情報を自分の書き方で手帳に記し、白衣のポケットに常備。困ったときはすぐに取り出して確認できるので、非常に安心でした。そしてやはり、書く過程で理解が深まる効果を感じました。仕事を早期に覚え、習熟できたのは、ひとえに自分マニュアルのおかげです。

「自分の手で書く」作業は、自分の外側にある情報を、自分に引き寄せることだと言えます。情報を自分の頭で再構築する作業は、初対面の相手と距離を縮め、親しくなるプロセスとも似ています。「人見知り」ならぬ「情報見知り」の特効薬とも言えるでしょう。

書き出す作業で情報量が絞り込める

自分マニュアルは、仕事以外にも活用できます。わかりづらいと感じるものすべてに応用してみましょう。凝った料理のレシピ、煩雑な説明書、複雑な新聞記事、教科書、参考書などなど、「難しそうなものはとりあえず書く」習慣を。

少し目先の変わったところでは、「旅のガイドブック」を自分流にマニュアル化するという活用法もあります。繊細な人は「未知」に警戒心を抱きやすく、「旅してみたいけれど、おっくうで行けない」場所が多くなりがちですね。

観光用のパンフレットや市販の書籍は、人によっては情報が多すぎたり、やたらとテンションが高かったり、デザインが賑やかすぎたりして、今一つ頭に入ってこないこともあります。ならば、ガイドブックを自作してしまうのが吉です。

西脇俊二『繊細な人をラクにする「悩み時間」の減らし方』(KADOKAWA)

自作といっても、大掛かりにする必要はありません。見たい場所のみをピックアップした簡易メモを書くだけでも、情報量が絞り込まれて、イメージが明確になります。

方向感覚に自信のない人は、旅程の交通手段のみをひたすら書き出すのも良い方法です。知らない街では、駅が意外に複雑だったり、乗り換えが難しかったりして慌てることがよくあります。グーグルマップなどで得た情報を、自分用に組み直しておくと安心です。

そうした作業が好きならば、大掛かりになっても、もちろん構いません。絵が好きな方なら、「書く」ではなく「描く」のもおすすめです。旅行中はもちろん、旅の後も、その街の記憶がよみがえる思い出の一作となるでしょう。

関連記事
【第1回】なぜ大金持ちは幸せそうに見えないのか…精神科医が「人生に期待する人ほど不幸になる」と考える理由
発達障害やうつ病と間違いやすい…「自分はダメ人間だ」と悩んでいる人の"意外な診断結果"
なぜ仕事量が多くても追い詰められないのか…禅僧が教える「自分の能力の二割増しで仕事を受ける」効果
なぜ日本人は「休むこと」に罪悪感を持ってしまうのか…「有休取得率が世界最下位」となる3つの根深い理由
「私は聞いていない」という上司はムダな存在…トヨタ社内に貼ってある「仕事の7つのムダ」のすさまじさ【2022編集部セレクション】