罪悪感や心のモヤモヤが晴れない時はどうすればよいのか。心理学者の内藤誼人さんは「不愉快なことばかりが頭に浮かんでしまうとき『もう考えまい』とすればするほど、かえってその考えが頭に浮かんでしまうものです。そんな負の感情をきれいさっぱり洗い流せる簡単な方法があります」という――。

※本稿は、内藤誼人『気にしない習慣 よけいな気疲れが消えていく61のヒント』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。

ストレスのたまった女性
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「一度決めたらもう変えない」と決めてしまおう

読者のみなさんは、いったん決定したことでも、後になってもし気に入らなければ、いつでも変更可能なほうがいいと思っていませんでしょうか。

しかし、それは違うのです。

オランダのアムステルダム大学のロッティ・ブーレンスによると、むしろ、後で決定を変えられないときのほうが、決定に後悔することなく、満足度が高くなるそうです。

いろいろと選択肢があると、私たちは目移りしてしまいます。いったん「これ」と決めてからも、「いや、他のほうがよかったかな?」と悶々とした気持ちがいつまでも尾を引きます。

それくらいなら、最初から他の選択肢などなく、後になって決定を変更できないほうが、私たちはあきらめもつきますし、満足度も高くなるのだ、というのがブーレンスの主張です。

選択;コンセプトと手の「CHOICE」テキストを持つ木製のブロック。
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決定を変えられないほうがしあわせな気持ちになれる

逆説的なことながら、決定を変えられないときのほうが、人はしあわせな気持ちになれるのですよ。

したがって、「背水の陣をしく」というか、一度決めたら、もう二度と迷わない、というルールを自分なりに決めておくといいかもしれません。そのほうが、疲れずにすみます。

昔の人は、いったん企業に就職したら、転職などせずに、そのまま定年まで勤めあげるのが一般的でした。やめたくともやめられない風潮というか、文化があったのです。

では、昔のサラリーマンがみんな不幸だったのかといえば、そんなこともありません。イヤな仕事でも、ずっとやっていれば、それなりに「この仕事って面白いな」と感じるようになり、「天職だ」とさえ思えるようになったはずです。

その点、今の時代では、気に入らなければいくらでも転職できます。しかし、他の会社や業種に目移りして、ちょこちょこと転職している人は、本当にしあわせなのでしょうか。

いつでも転職できる時代になってしまったからこそ、かえって不幸になってしまったような印象を受けます。少なくとも、ブーレンスの説にもとづけば、そういう予想ができるのです。

結婚もそうですね。かつての日本は、いったん結婚すると離婚をしにくい文化がありましたが、それでもけっこうどの夫婦も満足していました。いったん決めたら、変えられないときのほうが満足度は高くなるからです。

一度決めたら、もう変えない。

そういうルールを決めておくのもいいものですよ。