れいわ新選組と参政党の共通点
前回寄稿した中で分析した自民党の情勢調査では、石丸氏にはれいわ新選組と参政党の支持層のそれぞれ約2割から支持が流れていることを紹介した。
両党は「保守vs.リベラル」という従来の対決軸では対極にあることから、石丸氏への支持はこうした軸で推し量ることはできない。
一方で、両党に共通しているのは新興の国政政党であることだ。
こうしたことから、石丸氏には「現状を変えてくれる」という、新興政党に抱く期待感と似たような面で支持が集まっていると考えることができる。
これは「既存政党vs.新興勢力」という新たな対決軸と捉えることができるかもしれない。
そのように考えると、小池氏は自民党を中心に、蓮舫氏は民主党を中心に長らく活動し、要職を務めてきた政治家だ。
どちらも既存政党の代表のような存在で、そこに忌避感を抱くような人たちの票が、ごっそりと石丸氏に動いているという風にも考えられる。
実は似たような現象は4月28日に投開票された衆院東京15区補選でも起きていた。
東京15区補選では立憲民主党が擁立した酒井菜摘氏が最多得票となり初当選を果たしたが、一方で二番手には無所属の元参院議員、須藤元気氏が続いた。
ほかにも日本維新の会の金澤結衣氏や、小池百合子氏が擁立して自民の一部が応援に入った乙武洋匡氏が出馬していたが、それらを抑えて次点につけたのである。
「既存政党への失望」で新たな構図が生まれた
須藤氏は山本太郎氏と仲が深い関係で、れいわ新選組から一定の票が流れたが、NHKの出口調査によると、自民や立憲の支持層からも票の流入が確認できており、ここでも「保守vs.リベラル」という対決軸によらない支持を集めたことが伺える。
また、新興勢力への期待感という点では、この選挙で日本保守党の飯山陽氏が4位となったことも特筆に値するだろう。
そうすると、今回の東京都知事選でも、東京15区補選における須藤氏のように、石丸氏が終盤にかけて一気に票を伸ばすことも考えられる。
それは、裏金問題などに起因する既存政党への失望の裏返しという風にも捉えることができるだろう。
このような票の動きは東京15区補選や都知事選にとどまらず、今後行われる衆院選などの国政選挙でも出てくる可能性がある。
これまでも、れいわ新選組やNHK党、参政党などの新興政党が躍進し、議席を獲得してきたが、その動きがこれまで以上に進んでいくかもしれない。
「保守vs.リベラル」という従来型の対決軸が通用しなくなり、「既存政党vs.新興勢力」という構図で思わぬ候補が一気に躍進する。
既存政党はそうした事態も踏まえた選挙戦略の見直しが求められるだろう。
国民の今の政治に対する不満が、どのような形で票となって表れるのか。
都知事選の結果は、今後の選挙のあり方を大きく左右するものになるかもしれない。