日本のビジネスランチは非効率

「日中の時間をうまく使うとしたら、ビジネスランチなんか、積極的に行うといいのですか?」という質問を受けることがあります。

しかし「ビジネスランチはどうも非効率」というのが私の結論です。

ビジネスランチは欧米では当たり前のように行われています。しかし、日本の場合、その効果は意外と低いのではないかと私は思っています。

たとえば、フランスやスペインなどのラテン系の国の場合、ランチタイムが2時間くらいあることはザラです。ただし、ランチタイムのあとにはシエスタという昼寝の時間も設けられています。朝からしっかり働く代わりに昼休みは長いのです。

また、米国でもビジネスランチは頻繁に行われています。しかし、これは夜の時間は家族とゆっくり過ごしたりするためです。あるいはビジネスの人脈づくりに欠かせないパーティに顔を出したりすることもあるでしょう。

国土の広い米国では移動が飛行機になることも多く、午後から飛行機を使って出張に行くこともあるはずです。

すなわちビジネスランチが活用されるのは、夜は夜で会食とは違う形態のビジネスコンタクトがあるからなのです。

「今日は仕事をした」という認知バイアスが発生

こうした国々に対し、日本の場合はビジネスランチに加えて、夜は夜で居酒屋やレストランで接待というケースが少なくありません。

しかもほとんどの場合、ビジネスランチは夜の接待の代わりに行われています。

鈴木邦成『はかどる技術』(フォレスト出版)

「今日の夜は別の接待が入っているから、ランチでも一緒にいかがですか」というのが日本式だと思います。

そのうえ、平日ならば長い時間をとることはできません。誰もが似たような時間帯に同じような場所で慌ただしくランチをするので商談どころではないでしょう。したがって、きわめて効率の悪いビジネスコンタクトになります。

さらにタチが悪いのは、ビジネスランチで「今日は仕事をした」という認知バイアスが発生。不必要な達成感が出来上がってしまうことです。そうなると、もはや夜に接待やビジネス会食をするのは苦痛になってくるはずです。

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