人生の大きな岐路での意思決定はいつするのがいいか。物流エコノミストの鈴木邦成さんは「私は常識とは真逆で『人生設計は遅いほどよい』と考えている。人生を長期的に設計すれば緻密になるが、その途中で社会状況は大きく変わる。短期的な計画というのは一見、行き当たりばったりのようなイメージがあるが、実は長期的な計画に比べて、選択に関する情報量が格段に多くなり、長期計画に比べて計画実現の精度も上がってくる。大切なことは『昨日、今日、明日のワンセット』と考えることだ」という――。

※本稿は、鈴木邦成『はかどる技術』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。

結婚式をイメージしたあみぐるみ人形
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人生設計も需要予測も「いかに未来を見通せるか」

人生設計というのは早ければ早いほどよい。小学生くらいから将来を決めても構わない――こう考える人も少なくありません。

しかし、私の考えはちょっと違います。常識とは真逆で、「人生設計は遅いほどよい」のです。

その理由を物流などで行われる需要予測の考え方から説明したいと思います。

人生設計も需要予測も、「未来を予測して、そのシナリオを最適化する」というのがメインテーマとなります。つまり、「いかに未来を見通せるか」がポイントになります。

そこで考えたいのは「予測の精度」です。未来を予測する場合、それが近くに迫っていればいるほど精度は上がります。

たとえば、1年後の今日のあなたが何をしているかを考えてみてください。おそらく何をしているのか、思いつかないと思います。

では、5分後のあなたはどうでしょうか。現時点の延長でもあるので、ほとんどの人が自分の行動を高い精度で予想できると思います。

そうなのです。未来は近ければ近いほど予想しやすくなるのです。

長期計画と短期計画の比較
出所=『はかどる技術

それではこれをどのように物流の視点から考えればよいでしょうか。物流の立場から言語化すると、これは「商品は短ライフサイクルで開発、短リードタイムで商品を供給、在庫は最小限」ということになります。