就職した段階で人生設計を見直す

ここでは、もっと普通の人の場合を考えましょう。

まず、どのようなプロセスや理由かは問わず、ある会社に入ったときを起点としましょう。

昔ならとりあえず3年といったところですが、今ならまず1年くらいはその業界を見るつもりで働いてみることです。役に立たないかもしれないし、もっと早く辞めたくなるかもしれません。耐えられなければ半年はがんばりたいところですが、目標としては1年です。

最初に勤めた会社は誰にでも大きな影響を及ぼします。どんな業界のどんな会社か、たまたま入っただけかもしれませんが、この会社のイメージが数十年、場合によっては生涯影響を受けます。

それゆえ、後々思い返すこともあるので、善し悪しにかかわらず第一に仕事はしっかり勤め切るのがよいでしょう。そのうえで転職するなり資格試験を受けるなり、善後策を考えていただきたいのです。

どんな業種・職種に変わるか、それとも変わらないで働き続けるかは、そのときの状況次第です。ここは短期的に考えるようにしましょう。

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その際、「以前考えたことと違う、目標がブレブレだ」などと考えてはいけません。状況は常に変化します。臨機応変で対応するほうが適切な意思決定が可能になるのです。

やがて考えられる選択肢としては、仕事がある程度軌道に乗ったところで、副業、起業、独立、再度の転職などの選択をすることにしましょう。

短期的な計画というのは一見、行き当たりばったりのようなイメージがありますが、実は長期的な計画に比べて、選択に関する情報量が格段に多くなるのです。最適な選択をするうえで情報量は不可欠ですから、長期計画に比べて計画実現の精度も上がってくるのです。

昨日の記憶が消え去らないうちに、今日、明日の行動に活かす

短期的な人生設計を行ううえで、大切なことは「昨日、今日、明日のワンセット」と考えることです。物事には因果関係が必ず存在します。それを念頭に置くのです。

人間の過去の記憶は時間が経つにつれて曖昧になります。しかし、昨日の記憶はまだかなりの部分残っています。そのときの印象が消え去らないうちに翌日、翌々日くらいまでの予定を確認したり、見直したりするのがよいでしょう。

ところが、忙しい人が前日のことを改めて思い出すことは意外と少ないものです。「上司に怒られた」「口論になった」など、ネガティブなことはよく覚えているかもしれませんが。

しかし、「ちょっとうれしかった」くらいのことは、それを喜んだ段階で自己完結してしまい、「あれは、○○すればもっとよかった」といったようなフィードバックをする人はあまりいません。

これはとてももったいないことです。繰り返しますが、前日の記憶は過去の記憶の中でもっとも鮮明な記憶なのです。昨日あったことを前提に行動することで、今日、明日の行動目的が明らかにできるのです。

たとえば、読書や映画観賞などの予定は「1カ月前から決めていた」といっても予定や興味が変わることが少なくありません。何かきっかけとなる出来事があれば、その翌日に行動を起こすのが、もっとも有意義な選択となる可能性が高いでしょう。