組織に守られる代わりに組織に従う日本人
わが国のようなメンバーシップ型の世界では、組織が働き手を家族の如く守る代わりに、働き手は「●●株式会社のファミリーの一員」として、組織の要望に無制限に応える働き方を期待されることになる。
具体的には、入社時点でスキルや経験が皆無でも会社が教育を施して育てるし、多少仕事ができなくても、また急な景気変動が起きて会社の業績が悪化しても、部署異動などで雇用は守られ、いきなりクビになることは基本的にない。また建前として「全員が経営幹部になれる可能性がある」という平等性も存在する。
一方で、成果を上げても給料には反映されず、異動や転勤、転籍、出向などの形で、組織の指示には従順かつ無制限に従う義務が発生する。
(ちなみに、会社側が一方的に転勤や転籍、出向などを命じることは、日本以外の諸外国ならパワハラ扱いになるくらいの事態なのだが、メンバーシップ型の場合は当然のこととして認識されている)
「個人の自由な働き方」は実現しにくい
ここまでお読みいただければお分かりのとおり、メンバーシップ型雇用の世界では、以下の3つの理由により、必然的に「休み」や「個人の自由な働き方」は実現しにくくなるのだ。
第一に、メンバーシップ型雇用では、作業範囲の不明確さ、情意評価に依存する人事評価、チームメンバーとの相互協力を重視することなどが、時間外労働を促進する要因となる。
第二に、対面コミュニケーションによるチームワークを重視する形となり、それがフレックスタイム制やテレワークの導入に消極的な姿勢を取り、柔軟な勤務形態の普及を阻むこととなる。
第三に、長期の連続休暇を取るためには、チーム作業を妨げないようにする必要があって、それを実行することは難しい。仕事内容が明確に定められていないため、適切な代替要員を準備することも困難であり、休暇からの復帰後にさらに多くの仕事が待っている可能性もある。また、人事考課の評価点が下がる懸念もあり、有給休暇や長期休暇を取得することは容易ではなくなってしまう。
ではその前提を踏まえ、われわれが有休をとれるようにするにはどうすればよいのだろうか。これについては、後編で解説したい。
(後編に続く)