※本稿は、平川克美『「答えは出さない」という見識』(夜間飛行)の一部を再編集したものです。
制度を限界まで使い切ろうとする人にモヤモヤする
今の20代の人たちは、男女を問わず、「制度」を限界ぎりぎりまで使い切ろうとする傾向があるように感じます。たとえば、産休や育児時短が「○カ月まで」と決められていたら、それをギリギリまで使って休もうとする。
少なくとも私自身や私の世代には、こういうことはなかったな、と思います。制度をギリギリまで活用することよりも、周囲の人たちに迷惑をかけないタイミングで復帰することを考えていたと思うのです。
「制度を使い切る」ことは悪いことだとは言えないのかもしれません。でも、私の感覚では、「制度というのはほどほどに使うものではないか」という思いがあり、モヤモヤしてしまいます。平川さんのご意見をお聞かせください。
(40代・女性)
「餌」を撒かれているようなポイント制度
ご相談の趣旨は、非常によく理解できます。
というのも、かつて私自身が経営者として社員を雇用する立場にいたからです。私の経営してきた会社では、多くの社員が、有給休暇などの制度を当然のようにめいっぱい利用しようとしていましたが、そうした制度に無頓着な社員も多かったように思います。
私自身は、社員の経験がないのですが、おそらくは、有給休暇といった制度に関しては、無頓着なほうでした。
ちょっと話がずれますが、最近のポイント制度みたいなものに関しても、私はほとんど無頓着で、女房から叱られることもあります。
「あなたは、そうやっていつも損をしている」というのです。
でも、ポイント制度も、あまり執着すると、「ポイントを貯めるために、買い物をする」なんていう倒錯した考え方になってしまいそうな気がします。
そこまでいかなくとも、本来の商品交換とは違うファクターがポイント制度にはあるように思うのです。何て言えばいいのでしょうか、「餌」を撒かれているような感じですね。