スズキが最も得意とする「超コスパ主義」
「開発がスタートした時は本当に悩みましたよどうしようって。当時はコロナ前でみんな電動化電動化言っているのに、ICE(内燃機関)で頑張ろうとか言っちゃっていいのかなとか、みんなから叩かれないかなとか、いろいろ悩みました」(スイフト開発者、チーフエンジニアの小堀昌雄さん)
担当エンジニアの言う通り、この選択をしたスズキは大変大胆かつ勇気ある会社と言えるでしょう。
しかしスイフトのノーストロングハイブリッド戦略に勝算がないわけではありません。それはある種の超現実路線であり、スズキが最も得意とする「お値段以上作戦=超コスパ主義」です。小堀エンジニアは言います。
「ハイブリッドの開発もEVの開発も社内ではちゃんとやっています。ですけど、やっぱりネックになってくるのはお値段で、バッテリーやインバーターなどの電動パーツが全部購入品になっちゃうんですよね。その金額は僕らじゃどうしようもない。思いきり電動化するとわれわれの狙うコストレベルにはいかないという」
どのメーカーでも電動化すると200万円超に
このご時世、円安はもちろん原材料費の高騰もあり、本来安かったはずの国産コンパクトも楽勝で車両価格は200万円を超えます。
例えばヤリスは、ガソリン車では設計の古い1リッター直3搭載のXグレードがほぼ150万円スタートですが、ヤリスハイブリッドは安くても204万円から。
フィットもガソリン車は162万円スタートですが、ハイブリッドは203万円から。全車ハイブリッドのノートは229万円からで、オマケにはやりの先進安全プロパイロットを付けると最低でも240万円をラクに超えます。
安くてお手軽なはずのコンパクトハッチでも、ハイブリッド化すると基本200万円を超えるのです。
ところが新型スイフトは価格高騰を色濃く反映する直近の発売でありながら、新開発1.2リッターガソリン搭載のXGが172万円とお安く、電動力薄めとはいえマイルドハイブリッドのMXが192万円から。他のストロングハイブリッドよりざっくり10万円以上は安いのです。