組織は応募者の性格面のリスクを甘く見ていないか

当たり前のようですが、人を採用するときには、慎重に見極めないと「ほぼ必ずしてしまう人」を採ってしまう確率が高まります。

それを避けたければ、採用者を業務経験やスキルだけ、あるいは簡単な面接だけで選ぶのはNGでしょう。

もちろん人間関係には、一対一でも複数人の間でも、相性あるいはケミストリー(複数の個性が触れ合って生み出される反応)というものがありますから、性格がよさそうな人たちが集まれば万事大丈夫と言えるものではありません。

しかし、そうであっても性格面を十二分に考慮しないのは、あまりにリスクの高い決め方です。

私から見ると、パワハラ行為者に悩まされている組織の多くは、人材を採用する際にそのリスクを甘く見ていた組織です。

組織は、応募者が(自分たちの組織において)性格面で上手くやっていけそうか確かめるために、少なくとも1回余分に面接を設定し、工夫を凝らした面談を行うくらいはすべきです。

そのことに無頓着で、気にしてこなかったために、気づいたときにはパワハラ行為者たちに居座られ、簡単に排除できない状態になっている。これが多くの組織の「決してめずらしくない現状」です。

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性格は簡単には変えられない

人の性格は尊重すべきものですし、カウンセラーの私がわかったようなことを言うべきではありませんが、私自身も組織で働きながらパワハラ行為者たちに悩み、カウンセラーとしても彼らと接してきた経験から、「パワハラをほぼ必ずしてしまう人」は、もともとケンカやトラブルが好きだと思えてなりません。

「パワハラをほぼ必ずしてしまう人」は、自分のいるところ(家庭や職場)に揉め事があっても、何とも思わない人に見えます。

(決して上から目線でさげすむのではありませんが、)ケンカやトラブルの絶えない環境で育ったタイプの人が多いように思えるのです。むしろいがみ合いがあることで、自分の人間関係的な居場所を見つけられているようにも見えます。

そうした性格は変えられるものでもありません。そのことを前提に、組織は彼らの性格がパワハラを生じさせていることから目を背けず、向かい合うことが必要です。

それができないと、カウンセラーが必要になるような問題は、継続して起こり続けるでしょう。