チャンスがあれば「ほぼ必ずしてしまう人」

「ほぼ必ずしてしまう人」がいるのは、パワハラに限った話ではありません。

たとえば、前職を職場内のケンカで辞めている。その前の仕事も職場で揉め事を起こして辞めている。こういう人はめずらしくありません。

派手なケンカでなくとも、職場内で冷戦のような状態をつくり出し、新しい仕事が見つかると転職する。こうしたことを(たまたまではなく)繰り返しするのが「ほぼ必ずしてしまう人」です。

「セクハラと見透かされないように」と注意しながら、飲み会を頻繁に開催し、若い女性社員を「強制じゃないけど……」と誘う。考えていることは100%セクハラなのがバレバレの男性社員。

この人も同じく、それを(たまたまではなく)チャンスがあれば「ほぼ必ずしてしまう人」です。

もう1つ例を挙げましょう。私はかつて、勤務先で手癖のわるい人と隣の席になって、本当に困ったことがありました。

かなり年上の人でしたが、その人は私が自前で購入し、机に入れている文具(ペンや蛍光マーカー、定規など)を盗んでしまうのです。それは一度だけでなく、何度も繰り返し行われました。たまたま私の文具が気に入り、魔が差して、やってしまったのではありません。

彼は、どうしようもなく「ほぼ必ずしてしまう人」で、それ故に私の私物にも手を出したのです。

私がパワハラ行為者のカウンセリングで会うのは、こうした「ほぼ必ずしてしまう人たち」の中で、行ってしまうことが「パワハラ」の人たちなのです。

こちらに人さし指を突き出している人
写真=iStock.com/kuppa_rock
※写真はイメージです

パワハラをする人たちの共通思考

ケンカや冷戦、セクハラ、盗難を「ほぼ必ずしてしまう人たち」には、それぞれに共通する特徴があるように思えます。

そして、「パワハラをほぼ必ずしてしまう人たち」にも、やはり考えていることや性格に共通点があるのです。

パワハラをする人たちに共通するのは、(ほとんどの場合)自分はわるくないと考えていることです。

彼らは、「自分は言いたいことの2割くらいしか口にしておらず、至らない相手(被害者)に対しては、むしろ自分を押し殺し、寛大に接している」と信じています。したがって、パワハラと言われても致し方ない部分はあっても、それで騒がれるのは心外だと思っているのです。