「恵まれた環境」は、じつは危険
ここまでの話を読んで、
「自分はうつに追い込まれるようなブラック企業に勤めていないから、大丈夫」
と高を括っている人も、もしかしたらいるかもしれません。
しかし、「頑張りすぎ」という“症状”は、なにも心身の状態がマイナスに傾いているときにだけ“発症する”とは限りません。
どんなに頑張っても疲れないし、気持ちも上がる一方。
そういった“恵まれた環境”にあっても、頑張りすぎてしまうことが多々あるのです。
たとえば、スポーツにおいて、試合中にケガをしても“アドレナリン”の効果によって一時的に痛みを感じないことってありますよね。
それと同じで、人は「気持ちよく頑張れる」環境にいると、疲れをあまり感じなくなってしまいます。
そのことが、あなたの頑張りを制御するブレーキを取り払ってしまい、「気がついたら心身が疲れ切っていた」という状況を招いてしまうというわけです。
「いい仲間に恵まれ、好きな仕事」は要注意
その種の頑張りすぎを未然に防ぐためには、「つい頑張ってしまう」シチュエーションを事前に理解しておく必要があります。
ここでは、知らず知らずのうちに陥りがちな、5つのシチュエーションをご紹介しましょう。
①いい上司、いい仲間に恵まれているとき
部活でも職場でも、人間関係がうまくいっていると、人はそのコミュニティ内の活動に精力的に取り組むようになります。好きな仲間たちに囲まれているからこそ、無意識のうちにオーバーワークに陥ってしまうことは少なくありません。
②好きな仕事、得意な仕事に取り組んでいるとき
好きな仕事をしていて、気持ちの下がる人はいません。また得意な仕事だと、成果も上がるので、もっと頑張りたくなります。おのずと連勤をしたり、徹夜をしてしまったりする可能性が高まります。
③きつめの締め切りがあるとき
締め切りというのは、ある種「頑張りたくないものを“無理やり”頑張らせる」ための仕掛けです。宿題にしろ、仕事にしろ、多くの人は締め切りを目の前にすると「なんとかそこまでに終わらせなくては」と感じ、アクセルを踏みます。結果的に、多少ムリをしてでも「頑張って終わらせる」ことを選択してしまうのです。
④目標をあと少しでクリアできそうなとき
「あと○分」「あと○時間」「あと○日」頑張れば、目標をクリアできる。そういうときは「もう少し、もう少し」とつい頑張ってしまいます。こうした“背伸び”が必ずしも悪いわけではありませんが、想像以上に自分に負荷をかけていることを忘れてはいけません。