Type3:カダフィ型
出世したとたん、わがままに振る舞う独裁者タイプ。外資系広告業の人事部長は「営業力や独自の専門性を買われてヘッドハントされた転職組に多い。部下を自分の消耗品のように扱い、自分の言ったことが絶対であり、聞く耳を持たない。外資系には結構いる。短期的な利益を追うことはできるが、やがて部下が疲弊し、仕事のやる気まで失わせてしまう。怒った部下たちが経営陣に直訴し、会社を追われた人もいる」と語る。
その人は英語力もあり、社外のネットワークもある実力の持ち主だが、流通業の人事部長は「とくに実力がないのに、思い込みで部下に命令し、撃沈させる上司もいる。最後は部下の信頼を失い、誰もサポートしてくれなくなる。独裁的に振る舞うのも時にはいいが、部下の声に謙虚に耳を傾けることも必要だ。多少茶目っ気やユーモアがあるというバランス感覚がないとだめだ」と指摘する。
独裁者タイプはプレーヤー上がりにも多い。サイバーエージェントの曽山本部長は「自分と他人は違うものだと認識していない人が圧倒的に多い」と話す。
「自分のキャラと部下のキャラが違うことを認識できないために、命令口調となり、一方的に指示・命令し、部下の話を聞かなくなる。成果が出せない部下に対して、どうしてできないのかとむかつき、褒めるよりも責め立てることが多くなり、結果的に組織として成果が出ないスパイラルに陥ってしまう」
Type4:きまじめ型
遊びすぎて仕事そっちのけの人は論外だが、逆に遊ぶこともしないで仕事一筋のタイプは出世しないと指摘するのはIT関連企業の人事部長だ。
「ゴルフもやるが、サーフィンもやっているといった遊びや趣味も多彩な人が出世している。私生活もある程度、格好いい人は部下にも好かれる。たとえば部長になったら、なんかいい車に乗っているなと、そういう姿をあえて見せることで、部長みたいになりたいと部下に思われることも大事。逆に遅くまで残業し、疲れた顔を部下に見せるようなタイプは絶対に出世できない。仕事に対するプレッシャーはあっても部下に悲壮感を漂わせている人はリーダーシップなど取れない」
キリンホールディングスの三好部長も「成果を挙げるために悲壮感を漂わせて長時間働く上司についていくには、家庭もそっちのけで24時間フルコミットできる部下が集まらないといけない。しかし、そんな部下は限られるし、本当のチームとしての強さは生まれない」という。
有能な管理職とは、仕事と私生活をしっかりと線引きできるタイムマネジメントがうまい人だ。
「仕事を終えてから、会社に来るまでの時間をいかに有効に使うかがとても大事だ。家庭での役割を果たすこと、友人や社外とのネットワークや自分の勉強に当てるのもいいだろう。仕事を遅くまでやり、寝るために帰宅するという繰り返しだと、インプットできるのは会社の中しかない。長い目で見たら入力不足になり、アウトプットも出せなくなる。組織全体がそうであれば、とても怖いことだ」