「いくらなら売れるか」を先に決める

私たちは、すべてにおいて「お客様に喜ばれること」を最優先にしています。

そのため、価格設定をする際も、こちらの都合はいったん置いておいて、理想の価格を決めることから始めています。

価格の決め方には、2種類あります。

1つ目は、成り行き。原価に、賃料や人件費などの諸経費、利益を上乗せして価格を決める積み上げ式の方法で、製造業で多く見られます。

「これくらい払ってもらわないと困る」という、売る側の都合で価格を決めていく方法です。利益もなるべくたくさん乗せて、できるだけ高くしたほうがいいと考えます。

もう1つは、指値。

原価計算など細かいプロセスはすっ飛ばして、まず「お客様が満足してくれそうな価格」「売れる価格」を先に決めます。それから諸経費、必要な利益を逆算して原価を決め、後で帳尻を合わせていく方法で、チェーンストアでよく見られます。もちろんサイゼリヤは、こちらです。

価格を決めてから帳尻を合わせていく

あなた自身がお客様だと想像してみてください。

480円のミラノ風ドリアがいくらだったらうれしいでしょうか? 喜んでお金を払いたくなるでしょうか?

仮に「300円になったら、お客様は喜んで払ってくれそうだ」という結論が出たとしましょう。

これで価格は決まりました。あとはそこに向けて帳尻を合わせていくだけです。価格を安くするには具体的にどうしたらいいのでしょうか。これは3つの道しかありません。

仕入れを安くして原価を下げるか、運搬・貯蔵・加工コストを下げるか、作業のムダを省いて生産性を上げるか、そのいずれかです。

それに対するアプローチは、水平方向、垂直方向の2つがあります。

まず必要なのは、店舗数です。「チェーンストア理論」に沿って、店舗数を増やして水平展開し、以下のようにコストを下げていきます。

・一括大量仕入れで原価を安くする
・現場オペレーション以外の業務を本部に集中させて、店舗の運営コストを下げる
・すべての業務を「IE(インダストリアル・エンジニアリング)」の手法で科学して、ムリ・ムラ・ムダを省いて標準化する

店舗数が多ければ多いほど、安くておいしい料理を出すことができるのです。

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