東大と大阪公立大の反応の違い

まとめますと、大阪公立大学は全学で秋入学・英語公用語化とも導入しようとしているので批判されました。一方、東大は新課程の新設で秋入学・英語公用語化とも導入しようとしているので好意的な反応が相次ぎました。

東大の場合、2011~2013年に全学で秋入学に移行しようとして、結果、断念に追い込まれた、苦い経験があります。

一方で、グローバル化の推進には強い思いがあります。だからこそ、今回は全学ではなく、新課程の新設という部分導入を選択したのでしょう。

今回の新課程は文理融合型ですが成功すれば、新課程の定員増や新課程から別の課程を分離独立させるなど、次の展開も考えられます。

グローバル化の推進と現実、両方のバランスを取った方策と言えます。

もっとも、他大学でも既存学部とは別にグローバル系の学部を新設することですみ分ける方策を取っています。

早稲田大学国際教養学部や法政大学グローバル教養学部などがその典型例です。

現実を無視した案

大阪公立大学の秋入学・英語公用語化案を取材していると、どうも、吉村知事の理念が先行し過ぎた、との評もあります。

だからこそ、現実を無視した案が出て、批判されることになってしまいました。

グローバル化について全否定する大学関係者は多くありません。私も長年、取材していて国立・公立・私立問わず、グローバル化は必要、と考えます。

仮にグローバル展開している企業ではなく、国内需要が中心の企業への就職でもグローバル化の影響は出ています。観光・運輸業界はインバウンド需要への対応が必要です。商社・メーカーでも国内中心でありつつ、海外企業と取引している企業は多くあります。就職先がグローバル企業であってもなくても、大学はグローバル人材をどのように育成するか、問われる時代にすでに入っています。

しかし、理念先行だと現実が伴わず、「総論賛成・各論反対」となってしまいます。

大阪公立大学の秋入学・英語公用語化案はまさにその典型例となってしまいました。

大阪公立大学が本当にグローバル化を考えるのであれば、東大・新課程や早稲田大学、法政大学などのように、まずはグローバルを前面に出した学部を新設することです。

そうすれば、グローバル化という理念と現実、折り合いがつくのではないでしょうか。

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