東大で推薦入試が始まって8年。多くの難関国立大で推薦入試の枠が拡大され、進路選びの選択肢のひとつになりつつある。もはや一部の生徒のものではなくなった難関国立大の推薦枠。そこに勝機を見いだし、合格実績を上げている学校を取材した。
コンピュータのある部屋で授業を受ける学生
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文部科学省によると現在、8割の国立大学が筆記試験の成績のみで合否を決めない入試を導入していて、24年春の入学者向け試験では、国立大で学部生入試を行う82大学のうち64大学(78.0%)が総合型選抜を実施。学校推薦型選抜は77大学(93.9%)が行った。一方、一般選抜の定員は年々減少し、特に後期日程の減少幅が大きい。推薦入試枠に後期日程の定員が振られていることがうかがえる。

とはいえ、もともと推薦入試といえば、私立大。国立大学はコツコツまじめに勉強を続け、共通テストに臨むイメージが強かった。

けれど実は、東北大、筑波大、九州大では、東大で推薦入試が始まるずっと前の00年度から、AO入試(総合型選抜)が実施されていた。東京学芸大など教育系国立大学でも長年、課外活動の実績をアピールできる推薦入試が行われてきたという伏線がある。

東大が推薦入試を導入し、同じタイミングで京大も「特色入試」と称する入学枠を設定したことを機に、国立大に一般選抜以外で入る方法が選択肢のひとつにのぼるようになっているのだ。

筆記試験以外も磨く

入試に詳しい教育ジャーナリストの神戸悟さんは、こう話す。

「2015年に国立大学協会がまとめた、将来のビジョンに関するアクションプランもきっかけでしょう。推薦型入試の入学定員を30%に拡大することを目標に掲げています」

では、どんな生徒が合格しているのか。アエラでは、大学通信の協力を得て、難関国立大学10大学の推薦入試の合格者数を調査。2人以上の合格者を輩出した高校をランキングした。

どの大学も上位には、いわゆる名門とされる中高一貫の進学校が目につくが、全体的に公立高校が検討している印象も受ける。