お酒を飲んでもらうのが前提

実は、これが町中華の強みであり、店を続けていける大きな理由です。

混雑するラーメン屋に行った経験を思い出してください。サイドメニューは少なく、お酒を長時間飲む人もいなかったはずです。

石動龍『会計の基本と儲け方はラーメン屋が教えてくれる』(日本実業出版社)

混雑が前提の店では、滞在時間を長くするメニューは提供できません。

一方、空いている町中華は、だらだら飲んでもらうことが店にとってメリットです。

逆に考えれば、餃子やチャーハン、ビールを置いていない町中華はないでしょう。

具体的な数字で考えてみます。

二郎系は1杯1000円で原価率40%、高級志向店は1杯1500円で原価率40%、町中華は1杯700円で原価率30%に加えて、原価率20%のおつまみと酒を1人2800円分頼むと想定します。

行列店が儲かるわけではない

この場合、1人あたりの限界利益は、二郎系が600円、高級志向店は900円、町中華は2730円です。

この前提では、町中華の1人は、二郎系の4人分、高級志向店の3人分以上の価値があることになります。

比較すると、行列店が必ず儲かるとは限らないことがよくわかります。

飲食店に限らず、商売は薄利多売を目指すのか、少ない機会に利幅の大きい商品を売るのか、設計はそれぞれ異なります。

ラーメン屋の例を、自分のビジネスに生かせるように、考えてみましょう。

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