そもそも運賃以外に料金不要の快速や通勤快速に比べて、急行(これも有料)より特別に速い速達性を有するはずの特急がそれより遅いということは、車内の快適性、座席保証の対価が含まれるとしても景品表示法上の不当表示(優良誤認)にあたるのではないだろうか。
そうした料金を支払っても従来の通勤快速以下の速達性しか享受できない消費者はどのような反応を見せるだろうか。
沿線住民の声を経営に反映させる仕組みが必要だ
そもそもこの反発の要因はJR東日本がダイヤ改正に際して事前に利用者や自治体との協議等を行わなかったことにある。鉄道会社は日々利用者と接し、日銭を稼ぐビジネスであるにもかかわらず、私鉄も含めてダイヤ改正の際、事前に利用者の声を聞いたり、協議したりする姿勢に乏しいと感じる。
特にJR東日本をはじめ、JR各社は国鉄改革後の民営化による効率最優先で、鉄道の公共性が軽視されてきた。収益重視のため新幹線や特急が優先され、住民の足が犠牲になるなど地方では路線廃止や譲渡も相次ぐ。
筆者は従来より、鉄道の利用者本位の経営を促す仕組みづくりが急務であると指摘してきた。鉄道事業法を改正して利用者評議会をつくり、沿線住民の声を経営に反映する仕組みを各社に法的に義務付けてはどうだろうか。このような混乱は利用者、自治体そして鉄道会社にとっても避けるべきものだ。