京葉線のダイヤ改正がもめている。JR東日本は今年3月から朝夕のラッシュ時に1日4本ある通勤快速などを廃止する予定だった。ところが通勤時の所要時間が最大約20分延びることなどから、地元の反発が相次ぎ、早朝の上り快速2本だけは残すことになった。日本女子大学の細川幸一教授は「ダイヤ改正の狙いは速達電車の実質有料化で、許容できるものではない」という――。
京葉線の新木場駅付近で離合するJR東日本E233系5000番台(各駅停車)および209系500番台(快速)
JR京葉線の各駅停車と快速(画像=MaedaAkihiko/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

JR京葉線の「ダイヤ改正」が大炎上した

鉄道を利用して通勤・通学している人は多い。急行や快速が停車するか、目的地まで何分かかるか――。鉄道ダイヤは居住地を選ぶ上でも重要な基準になっている。しかし、それが鉄道会社の都合で簡単にひっくり返ることもある。

JR東日本千葉支社が昨年12月に発表した京葉線のダイヤ改正内容は、地域住民に激震をもたらした。発表資料によると、日中帯(10~15時台)を除き、東京―蘇我駅(千葉市中央区)間のすべての通勤快速および快速を各駅停車に変更。これにより、朝・夕夜間帯に外房線、内房線と直通するすべての快速も京葉線区間は各駅停車に変更するという。

京葉線の停車駅
京葉線の停車駅(プレジデントオンライン編集部作成)

京葉線とは、東京駅と蘇我駅との間の43kmを結ぶJR東日本の通勤路線。東京ディズニーランドに直結する舞浜駅などがある。蘇我駅から内房線、外房線への直通電車も運行されている。

蘇我―東京駅間の停車駅は、通勤快速が新木場、八丁堀の2駅。朝のラッシュ時に蘇我から乗車すれば、新木場までノンストップとなり、42分ほどで東京駅に着く。快速の停車駅は9駅で、千葉みなと、稲毛海岸、検見川浜、海浜幕張の各駅に停車したあと、南船橋、新浦安、舞浜、新木場、八丁堀に停車する。これは43~49分ほどで東京駅に到着する。

通勤快速・快速の廃止(各駅停車化)によって、同区間の所要時間は大きく伸びる。通勤快速が各駅停車になることによって55分程度かかり、朝は15分程度、夜間帯は20分程度長くなってしまう。遠距離利用者にとって大きな問題と映った。

沿線自治体は「断じて受け入れがたい」と猛反発

この発表を受けて沿線の住民、自治体は猛反発した。

ダイヤ改正にいち早く反対表明したのは千葉市の神谷俊一市長、千葉県の熊谷俊人知事だ。外房線沿線の勝浦市、鴨川市、いすみ市、御宿町、大多喜町なども反発した。