あまりに反響が大きかったことに驚いたのだろう。
JR東日本千葉支社は1月15日、朝時間帯に内房線、外房線から京葉線に直通する上り電車2本(6時12分君津発、6時3分上総一ノ宮発)に限り快速で運行すると発表した。ダイヤ改定公表後の修正は極めて異例だ。しかし、通勤快速の廃止など改定内容の大枠は変えておらず、千葉市など沿線の自治体側は反発姿勢を崩さなかった。
2月8日には、千葉県内の20の市町が連名で、JR東日本本社・千葉支社に対して再検討などを求める要望書を提出した。要望書では「断じて受け入れがたい」としつつ、今後は沿線の十分な理解を得たうえで慎重に進めることを求めた。
JR東日本は3つの狙いを明かしているが…
そもそもなぜ、このようなダイヤ改正をJR東日本は目指したのか。土沢壇・千葉支社長は昨年12月22日の会見で、通勤時間帯の快速を各駅停車に置き換える狙いを3点挙げていた。
一つが「混雑の平準化」だ。現状、蘇我駅と新木場駅をノンストップで結ぶ通勤快速の利用者は、乗車率が約7割にとどまるという。混雑している各駅停車とのギャップを埋めるためというわけだ。
二つ目が「各駅停車の所要時間の短縮化」だ。ダイヤ改定によって、東京―蘇我駅間で最大で7分、平均でも2分短くなるとしていた。速達電車がなくなれば各駅停車の通過待ちのための時間ロスがなくなる。
三つ目が、快速が停車しなかった駅の利便性を高めて、沿線各駅の均衡発展を図るということだ。
しかし、ダイヤ改正を評価する声は目立ってはいない。
「電車の速達化」を進めてきた鉄道各社
過去にも鉄道のダイヤ改正をめぐる混乱はあった。しかし、その多くが今回のケースとは逆の停車駅の削減による「電車の速達化」目的だった。
JR東日本でいえば、中央本線を走る特急「あずさ」の停車駅削減ダイヤだ。2018年12月、JRが中央本線の特急「あずさ」の途中駅での停車本数を翌年3月実施のダイヤ改正で削減することを発表し、長野県内の沿線自治体や商工団体が反発した。
新宿―松本駅間の平均所要時間が上りで4分、下りで6分短縮される一方、上下で16本停車していた下諏訪駅が4本になるなど停車駅を大幅に減らす改正だった。地元へのダイヤ改正の連絡は発表の1~2日前で、事前協議はなかったことも反発を招いた。
しかし、結局、改正内容は変更されることなく実施されたが、その翌年になってJRが折れた。2019年12月、JR東日本は翌年3月に実施するダイヤ改正を発表し、前ダイヤ改正で停車本数を減らした下諏訪、富士見、石和温泉などの各駅で停車本数をある程度戻した。