JR東日本グループは5月にデジタル金融サービス「JRE BANK」を開始した。金融アナリストの高橋克英さんは「JR東日本は銀行を持つことでJREポイントやSuicaの魅力を高め、グループ全体の収益の多様化と拡大を目指しているのだろう。日本郵政や楽天との連携にも注目したい」という――。

口座開設の申し込み殺到で受付制限も

2024年5月9日より、JR東日本グループは、デジタル金融サービス「JRE BANK」を開始した。アプリやウェブサイトから口座開設や振込、定期預金、住宅ローンなど銀行サービスが利用可能なだけでなく、鉄道会社ならではの特典やキャンペーンの魅力もあり、口座開設の申し込みが殺到した。状況によって受付を制限する日があるほどの人気となっている。足元の獲得口座数は未公表ながら、当初目標の100万口座獲得は、早期に達成されそうな勢いだ。

申し込み殺到の原因となった、JRE BANKの主な特典サービスには、①1枚でJR東日本営業路線内の片道運賃・片道料金を4割引で提供する「JRE BANK優待割引券」(最大年10枚)、②「どこかにビューーン!」(通常6000ポイント)を4000ポイントで提供するクーポンのプレゼント(最大年12枚)、③無料の普通列車グリーン券(Suicaグリーン券)を提供(最大年4枚)の3大特典に加え、JR東日本グループホテル宿泊料金の最大20%割引やルミネカード年会費相当額(1048円)の還元など、条件に応じて様々な特典を得ることができる。

商業施設やホテルとの相乗効果も期待

なお、JR東日本グループは、主なSC運営事業として、新宿、大宮、横浜などターミナル駅中心のルミネ、恵比寿・品川・上野、川崎などのアトレに加え、エキュートやグランスタ等の駅ナカ商業施設を展開している。

また、JR東日本ホテルズは、東京駅内にある「東京ステーションホテル」や、外資系高級ホテルブランドと提携した「メズム東京、オートグラフ コレクション」を有する。その他にも、丸の内や池袋、長野、仙台にあるメトロポリタンホテルズ(16棟)、渋谷や秋葉原、新潟などにあるJR東日本ホテルメッツ(30棟)など、全部で64棟を有している(※1棟は台湾)

こうした自社グループが展開する商業施設やホテルに対するJRE BANKの追加の特典やキャンペーンなどにより、双方にさらなる相乗効果が生まれることも期待できよう。